ー奇談ー學校へ行こう(2)3

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「三食冷やし中華」

摩耶「胃の中麺だらけっぽい」

悠「冷たい麺おいしいです」

亘理『悠ちゃんは一つのものを食べ続ける呪いか何かにかかってるの?』

悠「好きなものに一途なんだよ」

摩耶「ハンッ」

【かい撫で&がんばり入道】

千世子「じゅぎょーしますなのだ。年の節目である12月31日と、暦の節目である2月3日の夜にトイレにいくときは心の準備が必要なのだ。トイレが和式ならなおさらなのだ。なぜなら12月31日のトイレには「がんばり入道」、2月3日には「かい撫で」という妖怪が出現するからなのだ。」

悠「めっちゃ鼻で笑われた」

神姫「どっちかっていうと好きなものを一口ずつ齧っていくタイプでしょ」

ブラフマン「西瓜の真ん中スプーンでひとすくいだけ食べるタイプですか」

亘理『なんて贅沢を!!』

悠「そんな喰い方しねぇわ!」

千世子「かい撫では京都府などに伝承が残る妖怪なのだ。節分の日の夜に和式トイレで用を足していると、かい撫では便器空手を出して尻を撫でてくるのだ。尻を撫でるだけでそれ以上のことはしないが、撫でられたくないのなら「赤い紙をやろうか白い紙をやろうか」と唱えれば手を引っ込めるのだ。」

悠「あと、なんでいるの」

ブラフマン「?」

悠「お前だお前」

ブラフマン「ああ、暇なので」

悠「悪魔が暇って……ああ、メフィストも基本ヒマ人か」

千世子「一方がんばり入道は、窓の外からトイレを覗き込む迷惑な妖怪なのだ。外見は僧侶の姿で、盲目だというのだ。盲目の頑張り入道に自分が着たことを知らせるには、トイレに入る前の咳払いが効果的なのだ。もし咳ばらいを忘れて入道とあってしまったら、「がんばり入道ホトトギス」という呪文を唱えれば、この妖怪は消えてくれるのだ。」

ブラフマン「そうだ。麺が好きなのでしたらこういうものは如何ですか?」
ポンッ

神姫「ソーメン?」

悠「ソーメンっぽいけど……なんか動いてね?」

ブラフマン「魔界で流行っている蟲麺です。」

亘理『うぇっ』

千世子「火の神やかまどの神など、昔から日本には様々なものに神様がいると考えていたのだ。そしてトイレの神さま、いわゆる「便所神」がいてトイレを守っていると考えていたのだ。かい撫でとがんばり入道も、妖怪ではなく便所神と扱われることがあるのだ。」

悠「いらん、持って帰れ」

ブラフマン「残念です」
ポンッ!

亘理『私しばらく麺類食べれない…』

悠「実際に食った訳でもないのに平気だろ」

摩耶「悠くんは食べてても平気そう」

千世子「多くの伝承では、便所神はかい撫でなどと違って「美人で綺麗好きの女性」「(盲目や片手がないなど)身体の一部が欠けている」という外見的特徴があるのだ。」

悠「後遺症が出ずに味が保証されてるなら……いけるかな」

摩耶「いつか取り返しがつかないことになるパターン」

神姫「もうなってるんじゃない?」

悠「どこがだよ」

ラヴクラフト「……」
アリス『ふふっ』

千世子「便所神はトイレの神であると同時に、出産の神でもあったのだ。多くの地歩では、妊婦がトイレを綺麗に掃除すると元気な子供が生まれると信じられていたし、関東地方などでは、赤ちゃんが元気に育つように便所神へお祈りする風習があるのだ。」

摩耶「まぁ、色々とかな」

神姫「色々とね」

亘理『悠ちゃんが死なないのが不思議、ほんと不思議』

悠「根性と食いしばりとオートリレイズ持ってんだよ」

摩耶「リスキルし放題かな」

千世子「昔の人々は、出産は出血を伴うため不浄なものと考えていたのだ。子供を産む専用の小屋である「産屋」は、出産の不浄を広げないための隔離部屋なのだ。この不浄は神々も触れないと考えられていたのだが、便所神のような出産を担当する神だけは、不浄を嫌わず母子を守ってくれるというのだ。」

悠「リスキルじゃないけどモンハンでここ最近一番の死因は敵にぶっ飛ばされる根性で1残るけど溶岩で焼け死ぬパターン」

摩耶「長靴発動しかないと」

悠「長靴と根性が同時発動する猫飯パターンそこまででないし」

神姫「もっといい手があるでしょ」

悠「良い手?」

神姫「ダメージを受けない」

悠「極論」

千世子「また、昔のひとにとってトイレはただの排泄空間ではなく、別世界へと通じる特殊な場所だったのだ。そのため、便所神はこの世と異界の交通を管理する神でもあったのだ。以上、かい撫&がんばり入道のじゅぎょーだったのだ。」
5/100ページ
スキ