ー奇談ー學校へ行こう(2)2

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「めっちゃゼリーとか食ってる気がする。」

亘理『冷たくて甘いものってこと?』

悠「そなんだわ。アイスとか……まぁ、飯もしっかり食うんだけど」

神姫「しっかり食べられてるうちはまだいいでしょ」

【酒呑童子&茨木童子】

千世子「じゅぎょーしますなのだ。「鬼」といえば妖怪の代表格だが、一口に鬼といってもさまざまな種類がいるほか、固有の名前を持つものが多いのも特徴なのだ。そのなかでもっとも有名なのが「酒呑童子」と「茨木童子」なのだ。」

摩耶「僕なんかもともと食が細いから暑くなるとソーメンとかしか食べられなくなるよ。」

亘理『そうなんだ』

摩耶「まぁ、そこまでがっつり体調が悪くなることはここ数年はないんだけどね。おかげさまで」

悠「でも、夏に鍋誘ってもあんまり付き合ってくれないよな」

摩耶「暑いときに朝から鍋とかいやだよ」

千世子「酒呑童子は、平安時代の京都で「ひとをさらって食う」「金銀財宝を奪う」など、悪行の限りを尽くした妖怪なのだ。その身長は6メートルとも15メートルともいわれ、多くの場合3本以上の角をはやした姿で描かれるのだ。肌の色は真っ赤に染まり、目が15個もあったと伝えている民話まであるのだ。まさに異形の鬼といえるのだ。」

神姫「夜ならともかく朝からって……」

亘理『朝から鍋って……』

悠「おれは三食鍋でも行けるんだけどな」

サタン「マゾなのだ?」

悠「マゾ言うな」

千世子「酒呑童子は、京都の西のはずれにある「大江山」という山を根城にし、茨木童子をはじめとする多くの鬼を手下にして暴れていたのだ。だが最後は、怪物退治で有名な「源瀬光」と、その部下たちによって退治されたのだ。酒呑童子は、瀬光たちが仕掛けた毒の酒を飲んでしまい、酔いつぶれたところを瀬光たちに斬られてしまったのだ。」

スキュラ「やはり暑いときは深海で海藻やクラゲを食すのがいいかと」

悠「それができるの限られてるから」

ベヒモス「地下に潜るのも涼しいモス」

悠「できねーよ」

摩耶「スカイダイビング」

神姫「話がずれてきてない?」

千世子「瀬光たちは酒呑童子の首を切り落として、手柄の証として都に持ち帰ろうとしたが道中の道祖神(お地蔵さん)から、不浄なものを都に持ち込むのはよくないと警告されたため、首を持ち帰るのをあきらめてその場に首を埋葬したといわれているのだ。」

悠「スカイダイビングか悪くないな」

サタン「高いところに投げればいいのだ?」

悠「スカイダイビングじゃねぇ、それスカイハイだ」

神姫「楽しそうじゃない。私は嫌だけど」

摩耶「ちゃんと釘さしとくあたりがさすがだね」

千世子「酒呑童子の「酒呑」という名前は、酒呑童子が大の酒好きであることからきているのだ。そして「童子」は、鬼の呼び名として多用される名前なのだ。なぜ巨体の鬼たちの呼び名に、子供を意味する「童子」が使われるかというと、これは鬼たちが「山の神」の一種だからと言われているのだ。」

亘理『私は……高いところはいいかな』

悠「慣れてるもんな」

ベヒモス「なら、地下モス?」

亘理『地下もちょっと……』

スキュラ「水中」

亘理『無理です』

千世子「日本には、神がこの世にあらわれるときは子供の姿をとるという信仰があるため、山の神である鬼たちも「童子」と呼ばれるようになったのだ。酒呑童子の赤い顔が赤ん坊のようだから「童子」と呼ばれたという伝承があるのも確かだが、身長6メートル以上の赤ん坊というのも違和感がぬぐえないのだ。今日はここまでなのだ」
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