ー奇談ー學校へ行こう

ー教室ー

愛美達との話をつけて、悠達はいつもの教室で一段落ついた。

千世子は余程怖かったのか悠にしがみついたまま、ベソをかいている。

摩耶「チョコちゃん、大丈夫?」

悠「泣くなよ。」

千世子「ヒック…泣いてないもん…ヒック」

悠「いや、泣いてるから、俺の肩、涙涎鼻水でベッタベタだから。」

千世子「うっさい、あんちんのあほー!」

悠「キーン……耳元で叫ぶな…。ほら、いいこ、いいこしたげるから。」

ナデナデ…ナデナデ…
ナデナデ…ナデナデ…

千世子「ぎゅってして」

悠「はいはい。」

摩耶「ちょこちゃん、チャンスだから甘え倒しちゃいなね。」

摩耶はパシャリと携帯で千世子を抱き抱えている悠を撮影した。

悠「なにしとる。」

摩耶「思いで作り。アルバムに載せようね。タイトルは幼女泣かせ。」

悠「やめんかい!」

千世子「思いで作り……それいいな!」

悠「あー?」

千世子「千世子、あんちんとの思いで写真いっぱいほしい。まーやともいっぱいいっぱい写真とる!」

摩耶「じゃあ、デジカメ買わないとね」

悠「俺を見んなよ…そんな金ないぞ」

摩耶「まぁまぁ、それは追々ね。」

悠「おいおい…」

千世子「それじゃあ、今日はドラゴンの授業だ」

悠「……ドラゴン…竜…九頭竜…はぁ」

摩耶「顔色悪いよ?」

悠「気にしないでくれ。」

千世子「自然現象や未知の大地などに潜む脅威を説明するため、人類はさまざまな架空の生物を産み出してきている。こういった実在しない伝説上の生物のことを「幻獣」と呼びます。」

悠「俺は近くに九頭竜が二匹いるけどな…はは…。」

摩耶「ほんと大丈夫?」

悠「気にしないでくれ。うん。」

千世子「幻獣たちのなかでも特別な存在に「ドラゴン」がいます。ドラゴンが特別な幻獣である理由はその姿にあります。爬虫類の体をベースに、四本の足と鋭い爪を持ち、翼で空を飛び、口からは毒や炎を吐く。このドラゴンの特徴は、世界のどの地域でもほとんど変わりません。ドラゴンは世界中で知られる、もっとも有名なモンスターです。」

摩耶「ドラゴンは全世界共通なモンスターなんだね。けどじゃあ爬虫類系の怪物はまとめてドラゴンなの?」

悠「その変は実は曖昧なんだ。蛇とか蛇人間でもドラゴン扱いされるのもいるし、これがドラゴンだ!っていう条件もないしな。」

千世子「ぶっちゃけドラゴン系ってことね。要するにドラゴンらしい外見の怪物はドラゴンなのだ」

摩耶「アバウトだね。」

悠「幻獣だしな」

千世子「けど、分類はだいたい四つに分けられるよ。」

【ドラゴン】
爬虫類の体を持ち、前足と後ろ足を生やしたドラゴンのこと。

【飛竜(ワイヴァーン)】
翼を持って空を飛び、前足と後ろ足のどちらかしか持たないドラゴン。
蛇の体に翼の生えたドラゴンも含む。

【竜人(ズメウ)】
ドラゴンと人間が混ざりあったような外見を持つドラゴンのこと。

【龍(ロン)】
中国で生まれ、周辺各国へ伝わった東洋独特のドラゴン。
龍は長いからだと、複数の獣の特徴を組み合わせた姿をしている。

千世子「とりあえず、今日はここまで。ちゃんと覚えておくように」

悠「へーい」

摩耶「はーい」
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