ー奇談ー學校へ行こう(2)2

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「雨」

揺光【雨じゃな】

悠「濡れたんでちょっと乾かしてください」

揺光【ふっーー】
ジュッバッ!
悠「あっぢぃ!?」

摩耶「急速乾燥」

千世子「はい、じゅぎょーしますなのだ。前回の続きからで白面金毛九尾の物語は、日本にもともと単独で存在していた「玉藻ノ前」伝承に、中国やインドの伝説を付け加えて江戸時代に成立したものなのだ。九尾の狐が三国をまたにかけた伝承は日本独自の創作で、他国には存在しないのだ。」

悠「乾いたけど一瞬おれも乾きかけたんですけど」

神姫「フリーズドライ」

悠「ミイラになるわ!」

亘理『即身ぶっちゃうの!』

悠「即身ぶっちゃうってワードは初耳だわ」

千世子「朝廷の陰陽師に正体を見破られた玉藻ノ前は、現在の栃木県那須市で殺されたとされているのだ。しかしその恨みは強く残り、近くにあった大岩に憑りついたのだ。この石は周囲に毒気を吐きだし続け、近づく生き物を殺したというのだ。この石の名前を「殺生石」というのだ。殺生石はその後、東北地方の僧侶によって砕かれ、白面金毛九尾は完全に滅んだといわれているのだ。」

悠「滅んでないけどな」

揺光【休眠期間はあったがの】

摩耶「不滅」

悠「化物だ」

揺光【こんこん♪】
ゴリリッ!
悠「ふぐおっ」

千世子「この話の舞台となった栃木県の那須湯本温泉には、殺生石の破片といわれる石が今でも野ざらしになっているのだ。この石の付近は火山活動が盛んで、今でも硫化水素などの有毒ガスが噴き出しているのだ。このガスによって人間や動物が死んだことから、殺生石の伝説が生まれたのだろうと考えられているのだ。」

亘理『悠ちゃんの顔色が青を通り越して土色に……』

摩耶「平気平気」

神姫「問題ないわね。」

サタン「扱いが雑なのだ。」

悠「死んでしまうわ!」

揺光【死んでも即連れ戻してやるわ】

摩耶「安心して死ねるね」

千世子「現在では、九尾の狐は悪い妖怪の代表格のように見られているが、古い昔はそうではなかった。むしろ、良い出来事の前触れを知らせてくれる良い獣だったのだ。紀元前2~4世紀ごろに書かれた中国の書物「山海経」でも、九尾の狐はただの不思議な獣として描かれ、悪の気配はほとんどないのだ。以上、九尾の狐のじゅぎょーだったのだ。」
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