ー奇談ー學校へ行こう(2)2

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「なに今日、暑い」

摩耶「初夏みたいだね」

揺光【どれ、なれば仰いでやろう】
ブァサブァサッ!
悠「わー、すげぇ風圧」

神姫「毛が舞ってるんだけど」

揺光【おう、すまんな。】
ひゅっ、すとととっ

摩耶「元に戻っていくシステム」

千世子「じゅぎょーしますなのだ。白面金毛九尾は3つの国を渡り歩き、それぞれの国の権力者を誘惑して正常な判断を奪い、国を滅ぼそうとしたのだ。次からは白面金毛九尾の伝説を書いた「絵本三国妖婦伝」の記述を中心にまとめた白面金毛九尾の即席なのだ。」

悠「妖婦」

揺光【こんっこんっ♪】

サタン「毛布?」

神姫「確かにイイ毛ではありそうだけどね」

悠「明らかに念がこもっているけどな」

千世子「最初に現れたのは紀元前11世紀、中国最初の王朝といわれる「殷」王朝なのだ。殷の国王「紂王」の妃となった彼女は「妲己」と名乗り政治に介入したのだ。悪政の限りを尽くして殷を滅亡に追い込んだのだ。」

揺光【夜中に髪の毛の伸びる人形の毛で作った服とかどうじゃ?】

悠「完全ないわくつき品じゃないか…」

サタン「っていうか、チクチクしそうなのだ。」

摩耶「あとカビ臭そう」

悠「容赦なし」

千世子「次に九尾はインドに渡り、天竺魔伽多国というインド西部の大国に、班足という王子の妃「華陽夫人」としてもぐり込んだのだ。色香によって王子を意のままに操った華陽夫人は、異教の神を祀るために、1000人の王の首が必要だといって、周囲の王を1000人捕えさせたが、1000人目の王が仏教の儀式を行ったことで王子は正気を取り戻し、華陽夫人もインドを去ることになったのだ。」

悠「なんで昔の神とか妖怪って首集めるの好きなんだろうか」

スキュラ「諸葛孔明も昔集めたそうですね。」

摩耶「正確に言えば首がいるって言われたから代わりに肉まんを準備したって話だけどね。」

悠「ジャムのおじさんも頭焼くの上手い」

亘理『アンパン焼いてるだけだから!』

千世子「3つめのターゲットはふたたび中国。殷を亡ぼした王朝「周」の12代目皇帝「幽王」の妃「褒姒」となり、またも王を篭絡。褒姒の機嫌を取るために理不尽なことばかりした幽王は部下に見放され、敵に攻められた周は孤立して滅んでしまったのだ。」

揺光【やはり操るのは機微に欠ける。自ら指揮するのが一番よ。】

悠「明らかに自分が前線に立てば一瞬でケリがつく件」

揺光【それは面白くない】

悠「言い切った」

神姫「とりあえず引っ掻き回したいのね。」

千世子「そして時代は下って西暦753年。日本から派遣された遣唐使の「吉備真備」を誘惑した九尾は、16歳の少女「若藻」に化けて日本に入国。そして約400年後、引退した天皇である「鳥羽上皇」の妃になることに成功したのだ。そのとき白面金毛九尾が使った名前が、有名な「玉藻ノ前」なのだ。」

悠「マスコンしたいってやつか」

揺光【鱒昆?】

悠「マスコンバットってミニゲーム」

摩耶「アビス軍最後の抵抗」

悠「あれ、カウンターしてくるから強敵だったわ2回目まで」

千世子「玉藻ノ前は妖狐の能力で鳥羽上皇の精を吸い取ったため、上皇は重い病に倒れるのだ。病の原因を探っていた陰陽師が玉藻の正体を突き止め、狐の姿になった九尾は京から関東へ逃亡。追撃してきた武士によって殺害されたのだ。白面金毛九尾の二千年以上の生涯は、日本で終わりを告げたのだ。今日はここまで、続きは次回なのだ。」
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