ー奇談ー學校へ行こう(2)2
ー教室ー
毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。
悠「桜の花びら散るたびにー」
摩耶「ここの桜は恐ろしいほど咲き誇ってるね」
神姫「なのに散ってない」
亘理『お花見だー』
悠「悪くない」
【土蜘蛛】
千世子「はい、じゅぎょーしますなのだ。鎌倉時代に成立し、平安時代に一時代を築いた武士「平家」の躍進から没落までを描いた書物「平家物語」。実はこの本には何体かの妖怪が登場しているのだ。土蜘蛛は「平家物語」の外伝的作品である「剣巻」に登場する妖怪なのだ。」
悠「蜘蛛」
ビッ!
雨「指さすな指!」
悠「……蜘蛛っ!!」
ブンッ!
雨「勢いつけて指さすんじゃねぇ!!」
亘理『雨ちゃん落ち着いて』
千世子「土蜘蛛は体長1.3メートルほどある巨大な蜘蛛の妖怪で、洞窟に住んでいるのだ。この妖怪は「剣巻」で、妖怪退治で有名な武士「源瀬光」に呪術を使い、頼光を病気にして苦しめたのだ。しかし最後は、頼光とその部下に退治されているのだ。」
悠「退治されちゃった?」
雨「されとらんわ!」
神姫「退治されるよなことしてないでしょ」
雨「でも、コイツなら食い殺してもいいと思ってる。今でも」
悠「おれを食べたいって性的に?」
千世子「後世になると「剣巻」の土蜘蛛退治の物語は派手に脚色され、娯楽作品の題材になるのだ。室町時代初期に書かれたという絵巻物「土蜘蛛草紙」には、体長が6メートルもある土蜘蛛が登場するのだ。この物語の土蜘蛛は、頭の大きな尼僧、老婆、十二単と赤い袴を着た美女などに化けて頼光の前に現れたのだ。」
雨「喰い殺すぞ!!」
神姫「食べたら頭が壊れるわよ」
摩耶「お腹じゃ無くて頭が壊れる」
悠「おれのことなんだと思ってる」
神姫「異物」
千世子「土蜘蛛の物語が広まった理由は、鎌倉時代から室町時代にかけて成立した芸能娯楽「能」によるところが大きいのだ。能は「平家物語」の物語を題材にすることが多く、頼光の土蜘蛛退治の物語も例外ではなかったのだ。さらに能の演目となった土蜘蛛の物語は、室町時代後期に完成されたとされる「浄瑠璃」や、江戸時代に生まれた「歌舞伎」といった、能以外の娯楽にも取り入れられるようになり、一般市民にも広く知られるようになったのだ。」
悠「異物ってあんがい美味しいかもしれないだろ」
摩耶「でも、悠毒」
悠「有毒?」
摩耶「悠毒」
悠「きっと毒じゃ無くて薬だよ」
千世子「土蜘蛛には、日本最古の歴史書「古事記」や「日本書記」、地域の歴史が書かれた「風土記」にも登場するのだ。しかし、これらの書物に投じようする土蜘蛛は妖怪では句、人間の部族の呼び名なのだ。土蜘蛛族は、背が低くて手足が長く、穴蔵に住むとされる民族なのだ。彼らは東北から九州まで日本各地に住んでいたのだ。」
神姫「汚い何かよね」
悠「汚くないし!むしろ綺麗になるし!」
サタン「ヴィフィズス菌か何かなのだ?」
神姫「ばい菌」
悠「カモスゾー!」
千世子「この「土蜘蛛」という名前は、土蜘蛛族自身が付けた呼び名ではないのだ。これは、天皇を頂点に置く朝廷の人間が、天皇に従わない人々に対してつけた蔑称なのだ。朝廷は軍事力で土蜘蛛族を亡ぼしたが、逆に土蜘蛛の祟りを恐れるようになったのだ。恐ろしい土蜘蛛族の事を語り継いでいく過程で、土蜘蛛族は人間の種族から異形の妖怪に変化したのだ。洞窟に住む蜘蛛妖怪の土蜘蛛は、こうして誕生したのだ。以上、土蜘蛛のじゅぎょーだったのだ。」
毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。
悠「桜の花びら散るたびにー」
摩耶「ここの桜は恐ろしいほど咲き誇ってるね」
神姫「なのに散ってない」
亘理『お花見だー』
悠「悪くない」
【土蜘蛛】
千世子「はい、じゅぎょーしますなのだ。鎌倉時代に成立し、平安時代に一時代を築いた武士「平家」の躍進から没落までを描いた書物「平家物語」。実はこの本には何体かの妖怪が登場しているのだ。土蜘蛛は「平家物語」の外伝的作品である「剣巻」に登場する妖怪なのだ。」
悠「蜘蛛」
ビッ!
雨「指さすな指!」
悠「……蜘蛛っ!!」
ブンッ!
雨「勢いつけて指さすんじゃねぇ!!」
亘理『雨ちゃん落ち着いて』
千世子「土蜘蛛は体長1.3メートルほどある巨大な蜘蛛の妖怪で、洞窟に住んでいるのだ。この妖怪は「剣巻」で、妖怪退治で有名な武士「源瀬光」に呪術を使い、頼光を病気にして苦しめたのだ。しかし最後は、頼光とその部下に退治されているのだ。」
悠「退治されちゃった?」
雨「されとらんわ!」
神姫「退治されるよなことしてないでしょ」
雨「でも、コイツなら食い殺してもいいと思ってる。今でも」
悠「おれを食べたいって性的に?」
千世子「後世になると「剣巻」の土蜘蛛退治の物語は派手に脚色され、娯楽作品の題材になるのだ。室町時代初期に書かれたという絵巻物「土蜘蛛草紙」には、体長が6メートルもある土蜘蛛が登場するのだ。この物語の土蜘蛛は、頭の大きな尼僧、老婆、十二単と赤い袴を着た美女などに化けて頼光の前に現れたのだ。」
雨「喰い殺すぞ!!」
神姫「食べたら頭が壊れるわよ」
摩耶「お腹じゃ無くて頭が壊れる」
悠「おれのことなんだと思ってる」
神姫「異物」
千世子「土蜘蛛の物語が広まった理由は、鎌倉時代から室町時代にかけて成立した芸能娯楽「能」によるところが大きいのだ。能は「平家物語」の物語を題材にすることが多く、頼光の土蜘蛛退治の物語も例外ではなかったのだ。さらに能の演目となった土蜘蛛の物語は、室町時代後期に完成されたとされる「浄瑠璃」や、江戸時代に生まれた「歌舞伎」といった、能以外の娯楽にも取り入れられるようになり、一般市民にも広く知られるようになったのだ。」
悠「異物ってあんがい美味しいかもしれないだろ」
摩耶「でも、悠毒」
悠「有毒?」
摩耶「悠毒」
悠「きっと毒じゃ無くて薬だよ」
千世子「土蜘蛛には、日本最古の歴史書「古事記」や「日本書記」、地域の歴史が書かれた「風土記」にも登場するのだ。しかし、これらの書物に投じようする土蜘蛛は妖怪では句、人間の部族の呼び名なのだ。土蜘蛛族は、背が低くて手足が長く、穴蔵に住むとされる民族なのだ。彼らは東北から九州まで日本各地に住んでいたのだ。」
神姫「汚い何かよね」
悠「汚くないし!むしろ綺麗になるし!」
サタン「ヴィフィズス菌か何かなのだ?」
神姫「ばい菌」
悠「カモスゾー!」
千世子「この「土蜘蛛」という名前は、土蜘蛛族自身が付けた呼び名ではないのだ。これは、天皇を頂点に置く朝廷の人間が、天皇に従わない人々に対してつけた蔑称なのだ。朝廷は軍事力で土蜘蛛族を亡ぼしたが、逆に土蜘蛛の祟りを恐れるようになったのだ。恐ろしい土蜘蛛族の事を語り継いでいく過程で、土蜘蛛族は人間の種族から異形の妖怪に変化したのだ。洞窟に住む蜘蛛妖怪の土蜘蛛は、こうして誕生したのだ。以上、土蜘蛛のじゅぎょーだったのだ。」