ー奇談ー學校へ行こう(2)2

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「スコーーール」

摩耶「連日だねぇ」

ベヒモス「雨ばかりだと装甲に苔生えちゃうモス」

悠「バサルモスかな?」

ベヒモス「ベヒモスモス」

【鵺】

千世子「はい、じゅぎょーしますなのだ。時は平安時代末期、第76代天皇である近衛天皇は、ある妖怪に苦しめられていたのだ。その妖怪はその妖怪は毎晩丑の刻(午前1時から3時ごろ)に暗雲の姿で現れて天皇の暮らす御所を覆い、不気味な泣き声をあげて天皇を震え上がらせたのだ。これが毎晩続き、ついに天皇は病気になってしまったのだ。」

悠「義鷹ー!」

義鷹「俺じゃねぇよ」

亘理『別の鵺?』

義鷹「だろうな」

摩耶「ぬえーん」

千世子「この妖怪は鵺と呼ばれているのだ。鵺の姿は、頭は猿、身体は狸、手足は虎、尻尾は蛇と、さまざまな動物が合体した奇怪なものだったのだ。この鵺は、鎌倉時代に書かれたといわれ、平安時代末期の権力者「源平盛衰記」などに登場しているのだ。」

悠「義鷹の正体はどういう感じ?」

義鷹「……見たら目が潰れるぜ」

悠「閃光玉かな?」

神姫「……」

亘理『確か、別名「煌光(こうこう)」って呼ばれてるんだよね。』

千世子「天皇を苦しめた鵺は「源頼政」という武将に屋で打たれて絶命したのだ。頼政に倒された後の鵺がどうなったかは資料によって様々で、鵺の死体を船に乗せて川に流したとも、京都の清水寺の丘に埋めたともいわれているのだ。」

悠「銀レウスかな?」

神姫「酷いモンハン脳ね」

悠「へへっ」

義鷹「なんでお前が知ってる」

亘理『美兎が言ってた』

千世子「ぬえはその後として面白いものに「鵺の霊が馬となり木下という名で頼政に飼われた」というものがあるのだ。ところが名馬となった鵺は、頼政の上司である平家の武士に取り上げられてしまうのだ。この横暴に怒った頼政は反平家に兵を起こすが、逆に殺されてしまったのだ。鵺は馬に化けることで、回りくどい方法で頼政への復讐したということもできるだろうなのだ。」

サタン「見て見たいのだ」

義鷹「めんどい」

悠「じゃあ、でかさだけでも」

義鷹「ある程度は自在だが、この校舎程度は普通にある」

悠「それはデカいっ!!」

千世子「実は本来「鵺」という字は、この妖怪の名前ではないのだ。そもそも「平家物語」や「源平盛衰記」には、天皇を襲った寄界の名前は書かれていないのだ。」

サタン「我もでっかくなりたいのだ」

悠「それは第二形態とかそんな感じか?」

摩耶「角生えて、翼生えて」

神姫「手が増えて、赤くなって」

悠「だぶだぶで尻尾も生えて……あれ、これミルドラースだ」

千世子「鵺とは本来、夜中や夜明けごろに鳴く鳥の名前だったのだ。この鳥は寂しげで不気味な声でなくため、いつしか縁起の悪い鳥として見られるようになるのだ。特に朝廷では鵺の鳴き声に敏感で、鵺が鳴いたらお祓いを行うこともあったのだ。」

サタン「そんな気色悪いの嫌なのだ」

亘理『じゃあ、今の姿のままで大きく?』

サタン「ありなのだ」

悠「ただの巨大化だな」

摩耶「僕も金剛君みたいに……」

悠「やめたって」

千世子「「平家物語』の怪物の鳴き声は、鳥の鵺が鳴く声によく似ていたと言うのだ。それがいつしか「鵺のような声で鳴く妖怪」→「鵺」と変化し、鵺といえば鳥の名前ではなく「平家物語」の妖怪のことだと認識されるようになったのだ。以上、鵺のじゅぎょーだったのだ。」
87/100ページ
スキ