ー奇談ー學校へ行こう(2)2

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「ダンジョン飯でゴーレムの背中で野菜を育てるってのがあったんだけど、どうなんだろうな」

摩耶「どうってなにが?」

悠「じっさいうまくいくのかな。そしてよく育つんだろか」

サタン「マンドラゴラは血肉を振りまけばどこでもよく育つのだ」

悠「マンドラゴラは野菜じゃ無い……野菜か?」

摩耶「さぁ」

【海坊主】

千世子「じゅぎょーしますなのだ。川に現れる妖怪の代表格が河童なら、海坊主は海の妖怪の代表格なのだ。その伝説は、主に船乗りによって日本全国に残されているのだ。」

神姫「根菜でいいんじゃない?」

悠「確かに根菜か!!」

摩耶「地上を爆走している恋大根も一応根菜?」

亘理『立派な植物妖怪だと思う…』

悠「まえ、グラウンド見かけたけど葉の部分で彼岸花と向日葵が一緒に咲き誇ってたぞ」

千世子「海坊主の外見は伝承にひとつひとつで微妙に違うが、全身が黒く、人間より大きく、海に出現するという共通点が見られるのだ。それ以外は伝承ごとに、人間の5倍もの大きさの顔を持ち、くちばしがあるもの、30メートルほどの大きさで大仏のような形をしているものなど多様な外見が伝えられているのだ。また海「坊主」とはいっても、全員が坊主頭というわけでもなく、髪の毛はあったりなかったりするらしいのだ。中には外見を人間サイズまで縮め、人間に化けて船乗りをだますものもいるのだ。」

神姫「大根ではなくなってるわよね。」

悠「でも、足元ってか本体?は大根だったべ」

摩耶「季節が違う花が混在している時点で魔植物だけどね」

亘理『よく壊れないよね。いくら動けても野菜なのに』

悠「植物の力は偉大」

千世子「海坊主は活動目的も色々で、浜辺に居座って漁師たちの邪魔をしたり、船に乗った人間に話しかけて追い返そうとしたり、船を沈めようとしたりするのだ。船乗りに柄杓を借りて、その柄杓で船に水をかけて沈めてしまう海坊主の話などが有名なのだ。一方、にやりと笑いかけるだけで帰ってしまう、無害な海坊主もいるのだ。」

サタン「あれもマンドラゴラの一種だと思のだ」

悠「叫ばないけどな」

摩耶「あれで叫びまわってたらその辺りの生き物は死滅しちゃうよね。」

悠「殺人植物まったなし」

サタン「あんがいマンドラゴラの悲鳴を聞いても死なないのだ」

千世子「海坊主の別名は、船入道、海和尚、海法師、船幽霊などがあるのだ。なかには別の姿の妖怪の名前もあるが、伝承を見れば本質的な違いはないのだ。」

悠「そら、お前はな」

摩耶「サタンちゃんは叫びい聞いたらどうなるの?」

サタン「あ、うるさい……って感じなのだ。」

神姫「明らかに即死無効よね、それ」

サタン「でも、うるさいのは嫌なのだ」

千世子「海坊主の正体にはいくつか説があるのだ。タコであるというものや、鯔という魚が成長してトドと名を変え、最終的に海坊主に変化する、というものもあるのだ。また、海坊主の中には、ひとの顔をしたすっぽん、という姿のものもいるのだ。すっぽん姿の海坊主は、うっかり網にかかってしまい、殺そうとした漁師に泣いて頼んで逃がしてもらうなど、あまり強い妖怪ではないのだ。」

亘理『トドって魚が成長してなるの?!』

悠「そんなわきゃない」

亘理『だ、だよねぇ』

摩耶「ちなみにジュゴンはトドから枝分かれして進化するんだよ」

亘理『そうなんだ!』

千世子「さらに、海坊主が竜神の末裔だという説もあるのだ。ある男が竜神の祠に備えられている魚を盗んで食っていたのだ。すると海坊主がやってきて、その魚は自分のものだ、といって男を食おうとしたというのだ。」

神姫「そんなわけないでしょ」

亘理『騙された!!』

摩耶「あはは、ごめんね。」

悠「ときどき亘理が心配になる。」

亘理『えへっ』

千世子「竜神は、中世までは海の神として信仰されていたのだ。それに「すっぽんの海坊主」が結びつき、次第に神としての存在が弱まっていったのだろうなのだ。神聖さを失い、海にいる怪物としての存在が残ったと思われるのだ。以上、海坊主のじゅぎょーだったのだ。」
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