ー奇談ー學校へ行こう2

ー教室(3/13/夜)ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業がはじまろうとしていた。

悠「……歯が痒い」

花描「げっ歯類か」

悠「なんかしらんが昔から時おり歯が痒くなるんだよ」

神姫「歯が痒いってどういう症状よ…」

摩耶「ガム噛む?」

悠「摩耶は用意がいいな。」

千世子「あんちんの妙な病気はおいといて今日のじゅぎょーはこれなのだ。」

【マジックサークル】
魔法使いを守る聖なる円

悠「人を病気扱いすな」

千世子「円には神秘的な意味があったのだ。「マジックサークル」は、日本語で「魔法円」「魔法陣」と呼ばれるのだ。数学で登場する魔方陣とは漢字が違うので注意なのだ。」

摩耶「陰陽玉も円だね」

千世子「魔術的な儀式を行う際に、地面や壁などに描かれる特定のデザインがマジックサークルなのだ。「サークル」というぐらいなので、多くの場合は円をメインとしたデザインが使われるのだ。」

神姫「円の理由はなんなの?」

千世子「円は「循環」や「世界全体」を意味するシンボルなのだ。昔から神秘的なエネルギーを秘めていると考えられてきたからなのだ。魔法使いたちは、マジックサークルのことを単に「円(circle)」と呼ぶことも多いのだ。」

摩耶「回し受けや、足の歩方、打撃の回転も全部円運動だよね」

悠「龍剄気孔も螺旋の動きから連なる技だしな。」

神姫「それは弾針勁だけよ。龍剄気孔はもっと深く広いわよ。」

千世子「ところで、アニメや漫画に登場するマジックサークルは、ほとんどが似たようなデザインなのだ。皆に共通する元ネタがあるからなのだ。中世ヨーロッパなどで出回った魔術書(グリモワール)に掲載されていたデザインの多くが「同心円に星や直線を組み合わせた図形」だったのだ。そのまま現代のアニメや漫画に受け継がれているのだ。」

花描「マジックサークルは円ばっかりなのか?」

千世子「もちろん、円以外のデザインを使ったサークルも存在するのだ。たとえば、古代北欧のルーン文字も「儀式で使う図形」といういみでは、マジックサークルの一種といえるのだ。」

悠「っか、マジックサークルって本来は魔法使いが自分の身を守るために使ったものだろ。」

千世子「そうなのだ。強力な悪魔を召喚する場合など、しばしば魔法使い本人に危険がおよぶケースもあるのだ。そういう万が一の事故を防ぐため、魔法使いたちはマジックサークルの中で儀式を行い、自分を守ったのだ。」

摩耶「けど、僕のイメージだとマジックサークルの中に悪魔とかを召喚するイメージがあるんだけど。」

千世子「それはマジックサークルが魔法使いの身を守るための円から異世界へとつながる入り口としての円という意味に変わってきたのだ。以上、マジックサークルだったのだ。」
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