ー奇談ー學校へ行こう(2)2

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「亜鉛を取ると男は元気になるというが……ホントかねぇ」

摩耶「悠君はとらないほうがいいね。」

悠「なんで?」

摩耶「それ以上、元気になる必要ある?

悠「あるよ。いつでも、女の子を楽しめるように……」

神姫「……」

亘理『養豚所の豚を見る目』

【人魚】

千世子「はい、じゅぎょーしますなのだ。一般的に人魚というと、人間の上半身と魚の下半身を持つ西洋のマーメイドが思い浮かぶのだ。しかし日本や中国など、東洋には全く違う人魚がいるのだ。その姿は基本的に、魚の体に人間の頭がついた奇怪なものなのだ。ただ地域によっても人魚の姿は違い、子供のようだが人間でも魚でもない、なんだかわからないものといわれたり、海中の貴婦人と呼ばれるほど美しいものもいるのだ。」

悠「人魚もマーメイドももはや化物にしか思えない」

サタン「セイレーンとかはまんま化け物なのだ。あいつら集団で襲い掛かって海に引きづり込んで獲物を食い散らかすのだ。」

悠「ゾッとする」

神姫「そういうB級映画あったわね」

摩耶「何でもかんでもモンスター映画にする精神すごいよね。」

千世子「日本には、日本最古の歴史書「日本書記』を筆頭に、人魚の話が多く残っているのだ。すさまじいのは現在の富山県に出現した人魚で、何と体長11メートル。出現すると海は赤く光り、その声は三キロ近くまで聞こえたのだ。鱗は金銀に輝き、頭には白い角が生え、やさしい顔をしているが口から炎を吐くのだ。この人魚を退治するために、現地を支配していた加賀藩の大名「前田利常」が、家来1500人に鉄砲450丁を持たせて出動した、とあるのだ。ここまでくると妖怪というよりは怪獣なのだ。」

悠「そりゃ、キラートマトとかキラーコンドームなんて映画もできるわな」

亘理『はぁっ?!』

悠「あるんだよ実際」

摩耶「キラーハンバーガーの映画かはまだかな」

悠「それ、儀式モンスター」

千世子「人魚の肉を食べたものは、若い姿のまま長生きするという伝説があるのだ。現在の福井県南部にある若さの国に伝わる「八尾比丘尼」伝説では、ある男が隠れ里に招待され、ご馳走として人魚の肉を出されるのだ。気味悪がった男は肉を食べずに持ち帰ったが、何も知らない娘が人魚の肉を食べてしまったのだ。この娘はのちに「八尾比丘尼」と名乗り、800歳まで外見も変わらないまま生きたというのだ。」

亘理『もうちょっと夢のある人魚映画とかないの?』

悠「ディズの二-ぐらいかな。基本的に人魚=化け物な感じのが多い気がする。」

摩耶「人魚姫ってのもあるけどね」

悠「ああ、絶滅の危機に瀕した人魚族と環境破壊を続ける人間たちの戦いと、ラブロマンスを描いた作品な」

神姫「違うでしょ」

千世子「食べても不老不死にならないが、人魚の肉はとても美味しい、という伝承もあるのだ。」また、肉だけでなく人魚の骨が薬として役立つという説もあるのだ。しかし人魚を食べるにはかなりの犠牲が必要なようなのだ。若狭の国では、漁師が人魚を殺したところ、たちまち大嵐、海鳴り、大地震が起こって村は陥没したというのだ。海の神の使いである人魚を殺すには、それなりの覚悟が求められるようなのだ。以上、人魚のじゅぎょーだったのだ。」
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