ー奇談ー學校へ行こう2

ー教室(3/12/夜)ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業がはじまろうとしていた。

摩耶「悠くんのここ…スゴく硬いね」

悠「あぁ…やべぇ…きもちいい…ま、まや…もうちょっと強く…」

摩耶「こう?」

トントン、トントン、トントン

悠「あー、いい感じだ。摩耶の肩叩きはマジきもちいい。」

花描「なにしとるんだか…」

神姫「肩叩きでしょ。」

千世子「悠のあんちんはおっちゃんみたいなのだ。」

悠「うるへー」

千世子「あんちんが怒りだすまえにじゅぎょー開始なのだ。」

【セアンス】
霊を呼び出して一儲け?

花描「霊を呼び出す…降霊術か」

悠「霊を呼び出す儀式をセアンス。日本語訳で降霊会だからな」

千世子「呼ぶ対象は霊に限らないのだ。神や悪魔を召喚する儀式も広い意味でセアンスの一種と考えられるのだ。」

摩耶「ペルソナ召喚もセアンスなのかな?」

悠「あれはもうひとりの自分扱いだから……どうだろうか」

花描「ピエロ君のペルソナはマーラだろ」

悠「ネコショウグンだよ!」

千世子「セアンスは霊を呼ぶための儀式なので、メディウムの参加が必須なのだ。セアンスは「降霊会」というぐらいなので、必ず複数の人間が参加するのだ。なぜなら、これはただ霊を呼ぶことが目的じゃないからなのだ。」

摩耶「じゃあ何が目的なの?」

千世子「メディウムが実際に霊を呼び出すことができることを証明するためのイベント、それがセアンスなのだ。メディウムは霊を呼び出して、さまざまな方法で交流を行うのだ。それを見世物にすることで観客からお金をとるのだ。」

花描「つまり…セアンスは金儲け目的のイベントってことか」

千世子「早い話がそうなのだ。呼び出される霊は、単にメディウムのお金もうけのダシにされているに過ぎないのだ。」

神姫「霊にとってみれば、ただのいい迷惑ね。」

千世子「本格的にセアンスがブームとなり、世界に認知されるようになったのは19世紀のアメリカが発端だったのだ。当時、マーガレット・フォックスとケイト・フォックスの姉妹は、頻繁にセアンスを開催し、多くの霊を呼び寄せたのだ」

悠「マーガレット・サッチャー?」

摩耶「それ、鉄の女。」

千世子「姉妹たちの降霊会は必ず成功し、ビジネスとしても成功したのだ。これをきっかけに、欧米中にメディウムが現れ、セアンスブームへと繋がったのだ。」

悠「まぁ、金が絡むとそういう輩はいちはやく甘い蜜を数からな。」

千世子「ちなみに、セアンスで呼び出される霊が、皆の目に見えるかたちで姿を現すことは極めて珍しいのだ。大抵は音を立てるか、会場の家具を動かすだけなのだ。したがって、自称メディウムの中には、適当に暗闇で音をたてるだけで「降霊に成功した!」と言い張り、セアンスの参加者から金を巻き上げる詐欺しも多かったのだ。」
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