ー奇談ー學校へ行こう(2)2
ー教室ー
毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。
悠「北北西をきたきたにしっていった女子アナが居るらしいぞ」
摩耶「きたきたにし……新種のタニシかな?」
千世子「タニシの卵って気持ち悪いのだ。」
亘理『どんなの?』
悠「ピンク色の粒粒」
【滝夜叉姫】
千世子「はい、じゅぎょーしますなのだ。古来より、怒りや妬みなどの暗い感情を高まらせた女性は、頭から角が生えて鬼に変じるとされていたのだ。今回じゅぎょーする「滝夜叉姫」は、父を殺した仇への復讐心から鬼となった女性なのだ。」
亘理『聞くんじゃなかった……』
悠「食う奴もいるらしいぞ」
亘理『吐いていい?』
悠「今日何食べた?」
神姫「やめなさい」
千世子「殺された滝夜叉姫の父親とは、平安時代後期ごろの関東地方に大きな勢力を築き上げ、朝廷に反乱を起こした武士「平将門」なのだ。彼が新たな天皇こと「新皇」を名乗って起こした「平将門の乱」は、教科書にも載るほど有名な事件なのだ。」
悠「しかし、角って折れるイメージが強いよな」
摩耶「ディア?モノブロ?」
悠「深紅の角とねじれ角、集めめんどい」
神姫「知らないわよ」
悠「神姫にも角生えてる?」
千世子「将門の乱は朝廷からの遠征軍によって鎮圧され、将門の一族も捕まったり殺されたのだが、将門の三女である滝姫(五月姫とも)は無事に逃げ延びたというのだ。滝姫は父の仇を討つべく妖術を身につけ、名を滝夜叉丸と改め鬼に変じたのだ。」
神姫「生えてたら貫いてるわよ」
悠「冗談に聞こえない」
摩耶「本気ってことじゃない?」
悠「……むせる」
亘理『角って怖い』
千世子「乳に倣って完投で兵をあげた滝夜叉姫は、内部に刀を収納した仕込み杖や大薙刀を武器に使い、カエルの妖怪であるガマを操って、朝廷の軍勢と激しい戦いを繰り広げたのだ。しかし朝廷軍にも術を操る使い手がおり、その陰陽術に敗れた滝夜叉姫は絶命し、父、将門と共に昇天したというのだ。」
悠「カエルで思い出したんだけど耳のピアス穴にニシキヘビが引っ掛かった女性がいるそうだ」
亘理『わけがわからない?!』
悠「飼ってるペットのニシキヘビが耳のピアス穴に興味を持って通ろうとして引っかかったってことだよ」
亘理『いやいや、蛇なんか無理でしょ!?』
摩耶「でも、たまにテレビの特番でアマゾンとかに住む民族がお皿とかを唇に通してたりするし。」
千世子「この滝夜叉姫の伝説は、江戸時代に能や歌舞伎といった芸能の題材として広まっていったが、作品や演目ごとに細部に違いがみられるのだ。例えば江戸時代の浮世絵師、歌川国芳の代表作「相馬の古内裏」では、滝夜叉姫が巨大なガイコツを呼び出し武士と戦う様子が描かれているのだ。」
神姫「で、結局蛇はどうなったの?」
悠「病院で取ってもらったらしい」
摩耶「医者もビックリだろうね」
悠「泌尿器科でなかっただけましじゃね?ヘビニーしてたわけじゃ無くて」
神姫「はぁ」
悠「冷たいため息つかれた」
千世子「一方で、滝夜叉姫が実在の人物だったかどうかは定かではないのだ。福島県には滝夜叉姫と同じく将門の三女とされる「妙蔵尼(みょうぞうに)」という人物の伝説があるが、彼女は将門が討たれた後、福島の恵日寺に逃れて尼となり、父や一族の冥福を祈りながら静かに余生を過ごしたというのだ。滝夜叉姫のような復讐とは無縁の人生だったのだ。以上、滝夜叉姫のじゅぎょーだったのだ。」
毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。
悠「北北西をきたきたにしっていった女子アナが居るらしいぞ」
摩耶「きたきたにし……新種のタニシかな?」
千世子「タニシの卵って気持ち悪いのだ。」
亘理『どんなの?』
悠「ピンク色の粒粒」
【滝夜叉姫】
千世子「はい、じゅぎょーしますなのだ。古来より、怒りや妬みなどの暗い感情を高まらせた女性は、頭から角が生えて鬼に変じるとされていたのだ。今回じゅぎょーする「滝夜叉姫」は、父を殺した仇への復讐心から鬼となった女性なのだ。」
亘理『聞くんじゃなかった……』
悠「食う奴もいるらしいぞ」
亘理『吐いていい?』
悠「今日何食べた?」
神姫「やめなさい」
千世子「殺された滝夜叉姫の父親とは、平安時代後期ごろの関東地方に大きな勢力を築き上げ、朝廷に反乱を起こした武士「平将門」なのだ。彼が新たな天皇こと「新皇」を名乗って起こした「平将門の乱」は、教科書にも載るほど有名な事件なのだ。」
悠「しかし、角って折れるイメージが強いよな」
摩耶「ディア?モノブロ?」
悠「深紅の角とねじれ角、集めめんどい」
神姫「知らないわよ」
悠「神姫にも角生えてる?」
千世子「将門の乱は朝廷からの遠征軍によって鎮圧され、将門の一族も捕まったり殺されたのだが、将門の三女である滝姫(五月姫とも)は無事に逃げ延びたというのだ。滝姫は父の仇を討つべく妖術を身につけ、名を滝夜叉丸と改め鬼に変じたのだ。」
神姫「生えてたら貫いてるわよ」
悠「冗談に聞こえない」
摩耶「本気ってことじゃない?」
悠「……むせる」
亘理『角って怖い』
千世子「乳に倣って完投で兵をあげた滝夜叉姫は、内部に刀を収納した仕込み杖や大薙刀を武器に使い、カエルの妖怪であるガマを操って、朝廷の軍勢と激しい戦いを繰り広げたのだ。しかし朝廷軍にも術を操る使い手がおり、その陰陽術に敗れた滝夜叉姫は絶命し、父、将門と共に昇天したというのだ。」
悠「カエルで思い出したんだけど耳のピアス穴にニシキヘビが引っ掛かった女性がいるそうだ」
亘理『わけがわからない?!』
悠「飼ってるペットのニシキヘビが耳のピアス穴に興味を持って通ろうとして引っかかったってことだよ」
亘理『いやいや、蛇なんか無理でしょ!?』
摩耶「でも、たまにテレビの特番でアマゾンとかに住む民族がお皿とかを唇に通してたりするし。」
千世子「この滝夜叉姫の伝説は、江戸時代に能や歌舞伎といった芸能の題材として広まっていったが、作品や演目ごとに細部に違いがみられるのだ。例えば江戸時代の浮世絵師、歌川国芳の代表作「相馬の古内裏」では、滝夜叉姫が巨大なガイコツを呼び出し武士と戦う様子が描かれているのだ。」
神姫「で、結局蛇はどうなったの?」
悠「病院で取ってもらったらしい」
摩耶「医者もビックリだろうね」
悠「泌尿器科でなかっただけましじゃね?ヘビニーしてたわけじゃ無くて」
神姫「はぁ」
悠「冷たいため息つかれた」
千世子「一方で、滝夜叉姫が実在の人物だったかどうかは定かではないのだ。福島県には滝夜叉姫と同じく将門の三女とされる「妙蔵尼(みょうぞうに)」という人物の伝説があるが、彼女は将門が討たれた後、福島の恵日寺に逃れて尼となり、父や一族の冥福を祈りながら静かに余生を過ごしたというのだ。滝夜叉姫のような復讐とは無縁の人生だったのだ。以上、滝夜叉姫のじゅぎょーだったのだ。」