ー奇談ー學校へ行こう2

ー教室(3/11/夜)ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業がはじまろうとしていた。

千世子「さて、色々な魔法使いについてじゅぎょーしてきたのだ。」

悠「中世欧州からケルト北央、世界各地の魔法使いだったな。」

千世子「今日からは魔法使いについてじゃなく「魔法の儀式・魔法の効果」のじゅぎょーに入るのだ。手始めに今日はこれなのだ」

【サバト】
夜に繰り広げられる魔女たちの晩餐

悠「サバトってきくとイヤラシク思うんだが」

摩耶「悠君疲れてるんだね。」

花描「誰か休ませるか病院連れてってやれよ。」

悠「うぉい」

千世子「真夜中に人知れず開かれる魔女の集会、それがサバトなのだ。サバトでは具体的に何が行われていたのか?そして、夜中にわざわざ魔女たちが集まる目的はなをだったのか?こうしたサバトの真実について、現在ではほとんどの何も分かっていないのだ。」

神姫「ネガティブで残忍なイメージがあるけど」

千世子「そうなのだ。歴史的に見ていくと、特に中世ヨーロッパでは魔女とサバトに関する書籍が数多く出版されたのだ。その内容たるや「魔女はサバトで子供を殺して食べる」「朝まで裸で踊り狂う」「悪魔やインプを相手にセッ……クスしまくる」など、魔女の異常性を強調するものばかりなのだ。」

悠「なに?セッなに?」

神姫「最低のセクハラやめなさいよ本気で」

摩耶「そうだよ。それに朝まで裸で踊り狂うって悠くんなら普通にあり得そうだよね。」

悠「ねぇよ?!」

千世子「これらはいうまでもなく、当時のキリスト教会が「魔女狩り」のためにでっちあげた捏造なのだ。ユダヤ教をはじめとする邪教を弾圧する目的で、無理やり「サバト」にネガティブなイメージが植え付けられたのだ。」

花描「宗教問題はグロいな。」

千世子「当時のキリスト教会の神父たちが、完全な妄想のみで「サバト」をでっちあげられるほど想像力が豊かだったとは考えにくいのだ。やはり、ある程度は現実にあった文化を下敷きとして、キリスト教会の勝手な解釈やアレンジを加えることで、サバトのイメージをつくりあげていったようなのだ。」

悠「つまり、イメージがねじ曲げられる前の「本来のサバト」が確実に存在してたのか。」

千世子「一説によれば、キリスト教会の成立以前から庶民に親しまれていたバッカス神をたたえるお祭りで、お酒をのんだ参加者たちが無茶などんちゃん騒ぎを繰り広げていた様子が、キリスト教によって「狂気の宴」にねじ曲げられたという見方もあるのだ。」

摩耶「バッカスってローマ神話の葡萄酒の神様だよね」

千世子「バッカスのお祭りは、その年の豊作を祈願するお祭りでもあったのだ。古代の魔女たちは、お酒をのんで陽気に騒ぎつつも皆の生活を第一に考える、意外と気のいい人だったのかもしれないのだ。以上、サバトのじゅぎょーだったのだ。」
16/100ページ
スキ