ー奇談ー學校へ行こう(2)2

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「外がコスキュート…」

摩耶「凍てついてるねー」

悠「これは夢だ。早く目覚めておっぱいに挟まれて温かくしてね眠るんだ。」

神姫「目を覚まして寝るってなによ。」

亘理『現実逃避で錯乱してる。』

【青行灯】

千世子「じゅぎょーしますなのだ。妖怪や幽霊を語る「妖怪」の方法のひとつに「百物語」と呼ばれるものがあるのだ。これは月の暗い夜に、行灯という江戸時代のランプに百本の芯を着けて点火し、怪談が一話終わるごとに1本ずつ火を消すというものなのだ。」

摩耶「錯乱してるから現実逃避してるんだろうけどね。よっ。」
ガララッ、びゅおーっ!
悠「しゃむぃぃいっ!」

神姫「寒さに対しての現実逃避には寒さで活入れ」

悠「はぁはぁ……寒さで破裂する」

亘理『どうやって?!』

千世子「百物語で100の怪談を語り、全ての火を吹き消すと、必ず怪奇現象が起きるという説もあるのだ。妖怪「青行灯」は、百物語によって起こるという怪現象のひとつなのだ。青行灯は絵画などでは、黒く長い髪と角を持ち、歯を黒く塗り、白い着物を着た女性として描かれているのだ。」

神姫「皮膚が凍って割れて流血するていう意味でなら破裂かしら」

スキュラ「冷静な解析ですね。」
ヌトヌトッ

亘理『……スキュラさん、何かいつも以上にヌットリしてませんか?』

スキュラ「粘液です。これで寒さを防ぎます。」

神姫「ヌタウナギ?」

千世子「この青行灯、江戸時代の浮世絵師「鳥山石燕」によって描かれた妖怪画集「今昔百鬼拾遺」に登場する、鳥山石燕オリジナルの妖怪なのだ。百物語そのものは江戸時代から明治時代にかけて盛んにおこなわれたが、百物語の終わりに青行灯が現れたという体験談は、記録にはほとんど残されていないのだ。」

悠「そのぬるぬる纏ったら寒く無くなる?寒く無くなる?」

摩耶「ローションプレイ?」

悠「……温まりそうだ。」

神姫「窓の外に投げ捨てられたいの?」

悠「勘弁してくださしゃい…。」

千世子「ちなみに百物語では、行灯に張られている白い和紙の代わりに青い和紙を張って行燈の灯りを青にするのだ。これが青行灯という名前の由来だと思われるのだ。」

サタン「手っ取り早く炙るのだ。」
ゴォッ

悠「それもういいよ」

サタン「……」
ゲシッ!
悠「痛い!?」

サタン「…………」
ゲシッゲシッ!
悠「蹴るな!つま先で踝とかを蹴るんじゃない!」

千世子「実は「今昔百鬼拾遺」の絵に添えられた解説文には、青行灯が「妖怪」だとは記されていないのだ。青行灯の解説文には、こんな文章が書かれているのだ。」

【明かりが消えそうで影がいっそう強くなったときに、青行灯というものが現れることがある。昔から百物語をする者は、青い紙を明かりの回りに貼る。夜更けに鬼の話をしてはいけない。鬼の話をすれば恐ろしいことが起こる。】

摩耶「あ、これどう?ジョロギアの粉末」

悠「なんでそんな危ないの持ってる」

摩耶「最近ちょっと辛いものに凝っててね。温まるよ」

悠「いや、これ単体で温まるのは危険すぎる。舌が破裂する。」

神姫「破裂ばっかりね。」

千世子「妖怪研究科の村上健司は、鳥山石燕は「青行灯」という妖怪を描いたのではなく、百物語の最後に起きる怪奇現象の総称を「青行灯」と呼び、その象徴として鬼のような女性を描いたのではないかと解釈しているのだ。以上、青行灯のじゅぎょーだったのだ。」
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