ー奇談ー學校へ行こう2

ー教室(3/9/夜)ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業がはじまろうとしていた。

悠「あ……」

摩耶「どかした?」

悠「ラーメン食いたい」

花描「食べにいけばいんじゃね?」

悠「うーん…けど、近々ともきと行きそうだしなぁ」

神姫「なんの予知よ。」

千世子「ラーメンもいいけど今はじゅぎょーなのだ。」

【オウンガン】
黒人たちの間で広まった新しい魔術。

悠「トップガン?」

摩耶「ショットガン?」

花描「レールガン?」

神姫「誰一人かぶせる気無いわね…」

千世子「西インド諸島を中心に18世紀ごろから広まった、比較的に新しい宗教が「ヴードゥー教」なのだ。18世紀といえば、まだ「奴隷貿易」が行われていた時代なのだ。当時、ハイチを中心とする西インド諸島には、アフリカ各地から多くの黒人たちが拉致られてきたのだ。」

神姫「プランテーションで奴隷として働かせるためね。」

摩耶「プランテーション?」

悠「サトウキビ畑のことだ。」

千世子「こうして連れてこられた奴隷たちは、すべて西アフリカ地域の出身者だが、ひとくちに「西アフリカ」といっても、面積は広大なのだ。サトウキビ農場に集められた奴隷たちも、まったく文化の違う人々が入り交じった状態だったのだ。当然、奴隷たちが信じている宗教も、人によってバラバラなのだ。そんな雑多な奴隷社会の中で、少しずつ形成されていったのがヴードゥー教なのだ。」

悠「ヴードゥーったら呪いってイメージが強いよな。スタンドの…」

摩耶「ジョジョネタはもういいよ」

悠「無駄無駄無駄無駄~」

神姫「うるさい!」

千世子「ヴードゥー教の司祭は「オウンガン」女性の場合は「マンボ」と呼ばれるのだ。彼らのなかには、しばしば魔術的な力の持ち主がいたのだ。そうした魔術の中でももっとも有名なものが「ゾンビの生成」なのだ」

花描「くさったしたい。いや、バイオハザードか」

千世子「もともとゾンビは霊魂を意味する言葉だったが、後に「生きる死体」の意味で使われるようになったのだ。オウンガンたちは、他人の死体に命を吹き込んでゾンビに仕立てあげ、自分達の奴隷としてこき使ったのだ。」

摩耶「死体なら疲れ知らずだしね。ただ脳みそも腐ってないのかな?」

千世子「ゾンビを自分の近くで働かせることを考えれば「ゾンビの素材となる死体」はできるだけ新鮮なほうがいいのだ。」

悠「腐敗臭を撒き散らされたらたまらないしな」

千世子「したがって、オウンガンたちがゾンビを作る際には、必ず「死んで間もない新鮮な死体」を利用したのだ。現実のゾンビは、ドラクエシリーズにでてくるような「くさったしたい」ではなかったのだ。」
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