ー奇談ー學校へ行こう(2)2

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「気分はいつもくるくるりーん。おれだ。」

千世子「あんちんはブレないのだ」

悠「イエス、アイアム!」

亘理『テンション高』

神姫「イラッとする」

悠「えっ」

【天邪鬼】

千世子「はい、じゅぎょーしますなのだ。秋田県の山中には、子鬼のような妖怪「天邪鬼』が住んで居るのだ。この妖怪は他人の言葉に対して「どんな小さなことでも逆らう」ひねくれた性格をしているのだ。また他人の心を読むのが得意で、口真似や物まねで人間をからかって楽しむというのだ。」

摩耶「……」

悠「なんでおれの方見てるのかな?」

摩耶「深い意味はないよ」

サタン「天邪鬼なのだ」

悠「なんでおれの顔みながらいうのかな?」

千世子「彼ら天邪鬼の本場は秋田県だが、天邪鬼はそれ以外の地域にも広く分布していて、その能力や行う悪事についても、地域ごとに多種多様な伝承があるのだ。」

摩耶「悠君って秋田の……」

悠「生まれではないです」

摩耶「ふふっ」

悠「あははっ」

神姫「なんだこれ」

千世子「一般的なあまのじゃくは、心を読む能力で人間をからかったり、花嫁と入れ替わって贅沢な暮らしをしようとする程度で、緋斗の命にかかわる重大な悪事を働くことは少ないのだ。ただし中には、大掛かりな事件を引き起こすあまのじゃくもいるのだ。神奈川県には天邪鬼が富士山を崩そうとした伝承があり、兵庫県には山と山の間に巨大な橋をかけようとした天邪鬼が居るのだ。これらの天邪鬼は一般的に知られている子鬼のような天邪鬼などとは違い、巨人のような存在として語り継がれているようなのだ。」

亘理『悠ちゃんは素直じゃないだけだよね』

悠「素直だし」

摩耶「素直だね」

悠「いや、ひねくれてるよ」

神姫「天邪鬼じゃないの」

千世子「1匹の妖怪が地方によって名前や性質を変えるというのはよくあることだが、天邪鬼はそれが特に多く、アマグシャグメ、アマネジャク、アマノシャクなど、地域ごとにたくさんの異名があることが知られているのだ。また、山姥や山彦といった妖怪は、名前が違うだけで天邪鬼と同じ妖怪だと伝える地方もあるのだ。」

悠「ついつい乗っただけで本当は素直でいい子だよ」

神姫「いい加減にして」

悠「アッハイ」

サタン「本気で怒られてるのだ」

悠「縮み上がった」

千世子「天邪鬼の原型となったのは、神話の登場人物だとする説が多いのだ。そのモデルとしてもっとも有名なのは、約1400年前にかかれた歴史書「日本書記」に登場する女神「天探女(あまのさぐめ)」なのだ。だが天探女の性格は天邪鬼と違う部分が多く、どのように天邪鬼へと変化していったのかもわかっていないのが現状なのだ。」

摩耶「なにが?」

悠「股間」

神姫「……」
ミヂヂッ!
悠「い゛だだ!!」

亘理『わー、凄い音してる』

悠「ちぎれりゅ!ほっぺちぎれりゅーっ!」

千世子「平安時代初期、西暦800~900年ごろに製作された歴史書「先代旧事本紀」に登場する親子の神「天逆毎(あまのざこ)」と「天魔押す神(あまのまかおのかみ)」も、天邪鬼のモデルとなった神のひとつだとされているのだ。父の天逆毎は物事を反対に言わない時がすまない性格で、右にある物は左、前の事は後ろといったのだ。息子の天魔雄神とその部下には人間に憑りつく能力があり、取り憑かれた人間は精神が不安定になるというのだ。特に「天逆毎」の物事を逆に言う性格は、天邪鬼に忠実に引き継がれているように見えるのだ。以上、天邪鬼のじゅぎょーだったのだ。」
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