ー奇談ー學校へ行こう(2)2

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「気分はいつも……」

「「『くるくるりーん。』」」

悠「ありがとう、ありがとう。はい、約束のお菓子、お酒、毒ヒヒュドーラの酢漬け」

神姫「なに言わせてんの」

摩耶「しかも買収してる」

恋「待て!毒何とかってなんじゃ!」

千世子「はい、じゅぎょーしますなのだ。前回の続きからで、江戸時代ごろから貧しい農村で行われていた子殺しの習慣が密接に関係しているのだ。主に関東地方で「間引き」と呼ばれたこの習慣は、これ以上家族が増えたら養っていけない家庭に赤ん坊が生まれた場合、生まれた赤ん坊を殺すことで、家族が飢えないようにするというものなのだ。この当時、生まれたばかりの赤ん坊はまだ人間と認められておらず、殺しても犯罪にはならなかったのだ。」

悠「食うか?」

恋「しかも食い物?!」

悠「酢イカみたいなもんだ」

恋「毒といっとったじゃろ!!」

摩耶「毒も調理法によれば食べられるようになるものあるし。」

千世子「殺された赤ん坊は、家の入口である土間、敷居の下、石臼の下などに埋められたのだ。確かに座敷童の一種には、のたばりこや臼ひきわらしのように、間引かれた赤ん坊を埋める場所と対応した座敷童がいることが多いのだ。つまり、我が子を殺した罪悪感が子供の幽霊を見せ、子殺しの罪を覆い隠すために、その幽霊を「妖怪座敷童」と呼んだ可能性が否定できないのである。」

悠「うちのニセ童子はそんな重ったるい過去ないんですが」

恋「ニセいうな!!」

亘理『でも、幸運を呼べるんでしょ?』

悠「コイツが呼ぶ幸運より駒狸汁のこうりょくのが効くぞ」

摩耶「対象が悪いよ」

千世子「今でも岩手県の二戸氏には、かつて間引かれた子供を供養するために子供部屋を用意し、お菓子やおもちゃを置く風習があるのだ。」

神姫「私、あの栄養ドリンク(疑)だけは無理だわ」

悠「最近は当たりが多いゾ」

摩耶「当たりの具体的な意味を」

悠「この前はショッキングピンク色した奴だったんだけど……まったくの無味無臭だった。」

亘理『逆に怖いよ!?』

千世子「座敷童は今でも生きている文化であり「現在でも直接会う事ができる」と信じる人が多いのだ。例えば岩手県には、座敷童が出現したという体験談を持つ旅館が10件近くあるのだ。もっとも有名なのが、さっきもいった岩手県二戸市、金田温泉郷にある「緑風荘」という旅館なのだ。築300年の伝統ある屋敷を改装したもので、この旅館にある「槐の間」には宿泊客の前に座敷童が出現したという体験談が後を絶たなかったのだ。以上、座敷童のじゅぎょーだったのだ」
32/100ページ
スキ