ー奇談ー學校へ行こう(2)2

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「しかし、寒い」

摩耶「そうかな」

悠「……いや、そうでもないなこの教室は、だけど」

揺光【妾がおるからのぉ。こんこーーーんっ!】

悠「九尾吊りお紺みたいな鳴き方やめれ。」

【油取り】

千世子「はい、じゅぎょーしますなのだ。油取りは、東北地方に出没し、子供を攫う妖怪なのだ。この妖怪の特筆すべきところは「時代」なのだ。油取りは、妖怪の全盛期である室町~江戸時代ではなく、明治維新で近代化が進んでいた明治時代に広まった妖怪なのだ。」

摩耶「俺屍って名前は秀逸だよね」

悠「片羽ノお業とか七天斎八起とかな」

神姫「ヌエコ」

悠「……」
ガリガリッ

亘理『悠ちゃんが無言で喉をかきむしりだした!?』

千世子「油取りの噂が広まったのは、明治時代初期の東北地方なのだ。油取りは夕方過ぎに街に現れては、子供を攫っていくというのだ。この話は怪談ではなく、本当にあった事件として村々に伝わり、親は子供に夕方になったらすぐ家に帰るようきつく言い聞かせたのだ。なかには「夕方以降は女子供は外出禁止」というお触れを出した村もあるのだ。油取りは明治という時代の中で、実在する脅威として恐れられてたのだ。岩手県の遠野地方には、油取りの噂を信じてパニックに陥った村もあり「昨日はそこ、今日はあそこの子供が攫われた」などの風説が流れたのだ。」

悠「おれはな大抵、どんな悪役でも、どんなうっとおしい味方でも容認する。けどな、あのアマだけは許せない。」

亘理『悠ちゃんが女キャラを否定するとか……』

摩耶「まぁ仕方ない」

神姫「仕方ないわね」

亘理『仕方ないんだ?!』

悠「……」
ガリガリ

サタン「そろそろ首の血管やっちゃうのだ」

千世子「肝心の油取りがどういう妖怪かというと……まず姿は、紺色の布で出来た、足元を保護する装身具「脚絆」と手を保護する農具「手差し」を身に着けて現れ、子供を攫うのだ。そして攫った子供に魚焼き用の串を刺し、油を絞り取るというのだ。もちろん「油取り」という名前はこの行動から来た名前なのだ。特に女の子からはきれいな油がとれるといわれ、油取りに集中的に狙われたというのだ。」

悠「落ちつけ、おれ。落ちつけ、おれ。」

スキュラ「大丈夫ですか?」

摩耶「まぁ、首千切れてない限りは」

亘理『そこまで平気なんだ』

サタン「首を切り落とされても繋げれば問題ないのだ。」

千世子「東北地方には油取りが現れると戦争が起こるという噂も広まったのだ。戦争と油取りにどんな関係があるか全く不明だが、油取りは日露戦争の時に東北に現れ、人々を震え上がらせたというのだ。」

悠「一度チョンパしたらつながらないんですが」

サタン「気合が足りないのだ」

悠「気合の問題かよ」

ベヒモス「首は装甲でガードしらいいモス」

悠「無理」

千世子「油取りとよく似た妖怪は島根県にも居るのだ。「子取り」という妖怪で、文字通り子供を攫う妖怪なのだが、攫った子供から血を絞り取って、皿を作るための材料にしたというのだ。そのためこの妖怪は、別名『血取り』とも呼ばれたのだ。」

悠「血取りか……そういうジジイなら心当たりがある」

摩耶「20リットルくらいいけるよね」

悠「半分でも死ぬ」

神姫「レバー食べながらなら」

悠「無理!」

千世子「人々は古くから、人間が何の理由もなく突然いなくなることを「神隠し」と呼んで恐れたのだ。「神」隠しとはいうが、人間を失踪させるのは神ではなく妖怪だとする民話も多いのだ。天狗などが代表的なのだ。神隠しは否の借入ときなど、農家が忙しくなる時期になると起こりやすいというのだ。以上、油取りのじゅぎょーだったのだ。」
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