ー奇談ー學校へ行こう(2)2

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「しかし、暗くなるのが早くなったな」

摩耶「ホントにね。」

亘理『ここから見える街のネオンがクリスマスカラー』

悠「それはいつも」

亘理『……』
ベシベシッ
悠「理不尽に叩かれてる」

千世子「はい、じゅぎょーしますなのだ。江戸時代初期徳川家康が江戸幕府を開いたころのこと。イギリス王国からジョン=セイリスというイギリス人が使節として来訪し、北海道に渡ってアイヌの暮らしを報告しているのだ。「蝦夷記録」と呼ばれるその資料によれば、蝦夷地(北海道)には素早くて狩りの上手な小人が住んでいる、と記録されているのだ。この「小人」というのが、実在したコロポックルではないかという説があるのだ。」

サタン「光なら我も破壊光線を出せるのだ」

悠「怖い」

揺光【赤から白まで炎を操れるぞい】

摩耶「鉄もとろける温度」

神姫「良かったじゃない。炙ってもらえば?」

悠「どゆこと?!」


千世子「「蝦夷記録」の内容は、けっしてセイリスたちが日本に無知だったために生まれたものではないのだ。日本の記録にも、蝦夷地には小人族が実在するという記録は多いのだ。例えば現在の北海道の道庁所在地である札幌には竪穴式住居という原始的な家屋の遺跡が多く、これはコロポックルたちの家屋の痕跡であると真面目に信じられていたのだ。」

スキュラ「真っ黒いスミか紫の毒なら出せますが」

悠「皆さん、ネオンと攻撃特技は違いますからね?」

摩耶「何の話だっかわからなくなってくるよね」

神姫「ついでにいうとネオンもそれほど綺麗じゃないけどね」

悠「身もふたもないことを…」

千世子「さらに明治時代に活躍した人類学者、坪井正五郎はコロポックルは日本列島にもっとも初期から住んでいた原住民で、これをアイヌや本土の日本人などが来たに追いやったのだと主張する「コロポックル説』という学説を唱えたのだ。この学説についての異論は明治時代を通じて続いたが、坪井の死によって衰え、現在では重視されていない学説となっているのだ。」

亘理『イルミネーションが見たいなぁー』
グリグリ
悠「え、なんで突かれてるの?」

摩耶「ツリーとイルミネーションぐらい作ってあげればいいじゃん」

神姫「ここなら敷地はあり余ってるわよ」

悠「自分の家でもしないのに……」

千世子「アイヌには、本土の日本人とはかなり違う豊かな文化が伝えられており、コロポックルの他にも多くの妖怪が登場するのだ。その一例を紹介して、コロポックルのじゅぎょーは終わりなのだ。」

・アイヌカイセイ
木の皮の繊維で作ったボロボロ衣服を身に着け、古い家や空家に現れる妖怪。眠っている人間の胸や首を押し付けて苦しめる。ちなみに「カイセイ」とは死体という意味なので、アイヌカイセイは亡霊に近い存在かもしれない。

・イぺカリオヤシ
「食べ物をねだる化け物」という意味。山の中で人間がたき火をしてものを食べていると、背後からぬぅっと手を出してきて食べ物をねだる。しかし食べ物を与えてしまうと、際限なくねだるのできりがない。

・ニッタラサンペ
ツバサが生えた茶褐色のまりものような妖怪。これを見ると運気が急落してしまう。
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