ー奇談ー學校へ行こう2

ー教室(3/7/夜)ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業がはじまろうとしていた。

摩耶「今日はばっちり目が冴えてるよ。」

悠「昨日はあのあとぐっすり寝てたもんな。」

摩耶「えへへ」

花描「なにが寝不足の原因だったんだ?」

摩耶「映画をまとめ借りしちゃってね。」

悠「何借りたんだ。」

摩耶「メンインブラックとラッシュアワー全部」

神姫「どういう組み合わせよ」

千世子「長時間見るのは体調に気を付けないとダメなのだ。っで、今日のじゅぎょーはこれなのだ」

【方術師】
仙人の術を使う生身の人間

花描「偽の仙人や邪仙なら知り合いにいるけどな」

千世子「「方術」は、中国が発祥となった魔法のひとつなのだ。もともと「方術」は道教の言葉であり、「仙人が使う術」のことだったのだ」

摩耶「方術っていったら霊幻道士だよね。」

悠「ラムチェンの奴な。あれのシリーズで霊幻道士3と霊幻道士ベビーキョンシーVSドラキュラがむちゃくちゃ好きでDVD買ったくらいだ」

摩耶「え、今度貸して」

悠「いいぞ。」

千世子「最近では道士だからといって必ずしも方術を使えるとは限らない状況になってきたのだ。道教の僧は、方術が使えるかどうかによらず、すべて「道士」なので、純粋に思想や哲学を追求するために道教を修める者の中には、方術に興味を示さないものもいたのである。」

悠「霊幻道士シリーズで金銭剣と祭壇が好きだったな」

摩耶「あと壺とかね」

神姫「黄色の紙に赤で書かれたお札もあったわね。」

花描「あとは網とか縄とかもな」

千世子「逆に、中国の長い歴史の中で方術の研究が進んだ結果、道教と関係のない一般人が、方術だけを利用するケースも出てきたのだ。こうして、方術と道士の関係があいまいになり、道教とは別に新しく「方術師(方術士)」という言葉が使われるようになってきたのだ」

悠「そういや摩耶は道教だったよな」

摩耶「うん。けど方術は使えないからね?」

千世子「方術とは仙人の使う術なのだ。」

神姫「仙人は具体的にどんな術をつかうの?」

千世子「仙人とは、肉体を棄てた霊魂のみが活動を続けることで「不老不死」を実現したもののことなのだ。肉体を持たないということは、物理的な質量がない状態なのだ。そこで多くの仙人は空が飛べるというのだ」

悠「飛べないのもいるんじゃないか?」

千世子「その場合は地仙と呼ばれるのだ。この空を飛ぶという術も、方術のひとつなのだ。このほか「他人の目から姿を隠す術」や「身体を傷つけられても死なない術」などがあるのだ。これらの術はいずれも霊そのものである仙人ならば、できて当然のことかもしれないのだ。これらは、生身の人間が実行するからこそ、「方術」として価値があると言えるのだ。以上、方術師だったのだ。」
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