ー奇談ー學校へ行こう(2)2

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「ほーら、小童ども、お菓子だぞー」
どざざー

「「「わーい!」」」

摩耶「群がる妖魔達」

神姫「人間密度ほんと低いわね」

千世子「ペロペロキャンディなのだ!」

悠「その毒々しいカラーリングいいよな」

千世子「毒々しいって……まぁいいのだ。はい、じゅぎょーしますなのだ。雪女の伝承には、産女にそっくりなものが広い地域に伝わっているのだ。その内容は、赤子を抱いた雪女が通りかかった男性に赤子を抱かせると、赤子はどんどん大きく重くなり、男性を雪の中に埋めてしまうというものなのだ。この話は赤ん坊が重くなったせいで人間が圧死する、産女の伝承とほとんど同じ内容になっているのだ。」

悠「しかし、渋谷とか池袋、すっげぇ騒ぎだよな」

摩耶「ハロウィンてなんだっけって思う日」

神姫「そのうちイースターとかでも大騒ぎしだすのかしら」

悠「なんでもかんでも騒げばいいってもんじゃないよな」

アクエリアス「酒が飲めればそれでよいのじゃ。」

千世子「ちなみにこのとき、雪女の子供を抱くことを拒否した人間も殺されてしまうのだ。かといって抱けばやはり赤子が大きくなって雪に埋まるわけだから始末が悪いのだ。しかし青森県には、この子供を抱かせる雪女をうまくやり過ごした伝承があるのだ。その男は子供を抱かされるときに短刀を抜いて口に咥え、赤ん坊を受け取ると、赤ん坊の頭すれすれのところに刃が来るようにしたのだ。頭の上に刃があるため赤ん坊は大きくなれず、武士は無事に赤ん坊を雪女に返したのだ。雪女は子どせMを抱いてくれたことに喜び、宝物と異常な怪力を武士に与えたというのだ。赤子を抱かされていきのこると怪力が手に入るというのも、産女の伝承の典型的なパターンのひとつなのだ。」

悠「お嬢ちゃんは飴でも舐めてなさい」

アクエリアス「誰がお嬢ちゃんか!レディと呼べ」

悠「アーマロイド?」

アクエリアス「なんじゃそれ」

神姫「コブラね」

摩耶「コブラだね」

千世子「子供を抱かせる伝承からも分かる通り、雪女は母性を象徴とする妖怪なのだ。しかし一方で、雪女は女性の処女性が具現化されたものだという意見もあるのだ。雪の純白は清浄無垢な処女を現す表現で、その処女が性に目覚め、威勢を求めて現れるのが雪女という妖怪だ、というものなのだ。他にも山梨県の伝承では、雪女が、同じく山の妖怪である山姥の乳が垂れ、月経の血を流しているのを笑ったため、山の神の怒りに触れてしまった。その結果雪女は、赤い雪が降る日まで永遠に処女でいることになった、という内容のものがあるのだ。」

サタン「はぐ、ばりぼり!」

悠「チョコレートの束を口に放り込んで噛み砕きながら食う奴初めて見た。」

摩耶「歯がすごい頑丈なんだね。」

スキュラ「歯ならベヒモスさんも凄いですよ」

悠「いや、ベヒモスは鉱石とか噛み砕いてる時点で別格」

千世子「けっきょく雪女は、日本の様々な伝承が「雪+女性」という特徴を獲得したために、同じ「雪女」の名前で呼ばれるようになっただけの存在であり、そこに一貫したイメージを求める方が間違いなのかもしれないのだ。以上、雪女のじゅぎょーだったのだ。」
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