ー奇談ー學校へ行こう(2)2

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「ほどほどに寒い」

摩耶「寒いっていえば済むと思ってない?」

悠「えー……なんか怒られた。」

サタン「でも、今日は長袖なのだ。」

悠「ちゃんと防寒するぐらいに寒いのさ」

千世子「はい、じゅぎょーの続きをしますのだ。前回話したように、雪女の中には老婆や一本足など、美人のイメージとは程遠い姿をしたものが少なくないのだ。にもかかわらず雪女といえば美女をイメージするには非常にわかりやすい理由があるのだ。男は美女のほうが好きだからなのだ。」

悠「はい!」

亘理『これでもかってぐらいいい返事した…』

神姫「裂けたらいいのに」

悠「どこのなにが?!」

摩耶「上唇と下唇が真横にとか」

悠「うわ、想像したら超痛い…」

千世子「例えば美人画で有名な江戸時代の浮世絵師「喜多川歌麿」は、雪女を女性の結婚式用衣装「白無垢」に身を包んだ花魁として描いているのだ。雪女を美しく書くことは江戸時代中期以降の流行であり、歌麿以外の作品でも雪女は美女として描かれたのだ。」

悠「美女が幽霊ってのも怖いけど、醜いが幽霊ってのも普通に怖い」

亘理『じゃあ、怖くない幽霊って?』

悠「しっぽがにょろんって出ててベロを出してる」

スキュラ「幽霊っていうかおばけって感じですね。」

摩耶「でも、ああいうのこそ即死攻撃とかしてきそうだよ」

千世子「江戸自体の作家、小泉八雲が書いた怪談集「怪談(くわぃだん)」に収録された雪女の話では、雪女は好きになった人間に尽くす美女として描かれているのだ。この「怪談」の雪女像は様々な作品のモチーフにされ、現在われわれがイメージする雪女のもとになった存在だといえるのだ。」

悠「ああ、それは怖いな」

神姫「見た目よりも、こっちの攻撃が通用するかしないかが重要でしょ」

悠「たしかに、物理が食らうならパイルドライバーとかナイアガラバスターとかぶちかませばいいもんな」

亘理『なんで投げ技?』

悠「幽霊って重さなさそうじゃん」

千世子「雪女が世の中で語られるようになったのは、今から600年ほど前、室町時代だという説が有力なのだ。雪女のもとになったのは、雨の夜に子供を抱いている女性の妖怪「産女」だといわれているのだ。産女の伝承が雪国の山中に伝えられた時に、雨の夜という状況が雪降る夜という状況に置き換えられ、それに合わせて現在の雪女の姿が生まれたというわけなのだ。今回はここまでで続きは次回なのだ。」
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