ー奇談ー學校へ行こう(2)2

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「ふしゅー…」

摩耶「(寝てる?」

悠「寝てない…」

摩耶「強い?」

悠「やたら硬い…」

【雪女】

千世子「はい、じゅぎょーしますなのだ。真っ白に雪の積もる銀世界に、ひとりの女性が立っているのだ。その女性は真っ白な場に純白の着物をまとい、こちらに呼びかけてくるのだ……と、子供のころ怪談の絵本を読んできた日本人なら、こんな光景がすんなりイメージできるはずなのだ。」

亘理『寝てないってゲーム?』

悠「モチモチ系アイドル…」

摩耶「だいぶ脳がやられてるね。」

神姫「いつもと変わらないでしょ」

悠「フヒヒ、楽しいなぁ、レベル上げわぁー」

神姫「……」
スパァン!
悠「ぐぶぁ!」

千世子「雪の降る場所に現れる女性の妖怪「雪女』は、北国で最も有名な妖怪のひとりなのだ。雪女は雪の降る地方、特に東北地方や長野県、新潟県などの雪深い地方に多く伝承が残っているのだ。だが九州の最南端である鹿児島県にも雪女の伝承はあり、昔の日本列島がいまより寒かったことが想像できて非常に面白いのだ。」

サタン「いい角度でノートが振り下ろされたのだ。」

悠「あ、ちょっと目が覚めた…」

亘理『悠ちゃん、寝たほうがいいよ…』

悠「レベル60になったら寝るよ」

摩耶「あれ、まだなってないの?」

千世子「雪女は一般的に、白い着物を着た美女とされることが多いのだ。タダシ必ず美女という訳ではなく、秋田県には目鼻立ちのハッキリしない雪女が登場するし、北陸地方から日本海につきだす能登半島では、杖を突いて大きな傘をかぶった雪女の亜種「白粉婆」の伝承が残っているのだ。さらに変わったところでは、大雪の日に現れる雪女は一本足だという伝承もあるのだ。」

悠「一回60~62までいってたんだが……」

摩耶「あっ、察し」

神姫「セーブせずに死んだと」

悠「フヒヒっ」

アクエリアス「可哀想に、まぁ、飲め!」

悠「いま、酒が入ったら寝るからダメ」

千世子「人間にとって雪女はとても危険な妖怪なのだ。なぜなら雪女の伝承は、出会った人間を何らかの方法で殺そうとする内容のものがほとんどだからなのだ。もっとも有名なのは、出会った男の精気を吸い取って殺してしまうというものなのだ。その他にも、雪女の呼びかけに答えないと、背中を押されて谷底に落ちて死ぬとか、逆に雪女の呼びかけに答えたり、顔を見ると死ぬというものもあるのだ。子供を攫ったり子供の内臓を抜き取るなど、子供を狙い撃ちにした伝承も少なくないのだ。今回はここまでで続きは次回なのだ。」
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