ー奇談ー學校へ行こう2

ー教室(3/6/夜)ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業がはじまろうとしていた。

摩耶「うと…うと…」

花描「珍しいな摩耶くんが船こいてる」

悠「摩耶、膝かそうか?」

摩耶「……うにゅ…いいの?」

悠「あぁ、どうぞ」

千世子「あの…じゅぎょー…」

摩耶「大丈夫、大丈夫。授業聞いてから寝るから」

千世子「それじゃあ、じゅぎょー開始なのだ!」

【メディウム】
霊との通信を行う情報メディア

摩耶「ふあぁ…」

悠「眠たくなったら無理するなよ。」

神姫「摩耶くんには優しいのね」

悠「誰にでも優しいといってくれ」

神姫「……」

千世子「メディウムは、日本語に訳すと「霊媒」になるのだ。『Medium(中間・媒介)』という英語の意味が示すとおり、メディウムは「霊的な存在」と「一般の人々」の間に立ち、インターフェイス的な役割を努めるものなのだ。」

悠「有機ヒューマノイドインターフェイス」

摩耶「ウトウト…それ…長門さん」

千世子「人々はメディウムを通して、先祖や神々と会話することができるのだ。霊たちと話しさえできれば、お願いを聞き入れてもらえるかもしれないし、役に立つ予言を得られるかもしれないのだ。」

花描「けど、それってシャーマンと変わらなくないか?」

千世子「シャーマンとメディウムは、役割の似た部分が多いのだ。ちなみ19世紀のアメリカで流行した「セアンス(降霊術)」も、このメディウムが存在することで初めて成立するイベントなのだ。霊の絡むところには、必ずメディウムがいるのだ。」

摩耶「ウトウト…」

悠「おれは霊とは話したくないな」

花描「どうして?」

悠「何を見られてるかわかったもんじゃないだろ。」

千世子「シャーマンとメディウムは似ているのだ。しかし、シャーマンにできて、メディウムにできないことがあるのだ。その代表が「幽体離脱」なのだ。」

悠「あぁ、双子でやるネタな。」

摩耶「ゆうたいりだつ~…ウトウト」

神姫「合いの手いれるのはマメね…」

千世子「自分の肉体から意図的に霊魂だけを抜き出し、そのまま霊魂だけで自由に移動する幽体離脱は、自分ひとりで実行できる術なのだ。このような例えでは「他の霊との間に立つ媒介」としてのメディウムは関係ない話しになってしまうのだ。」

花描「逆に、シャーマンにはなくてメディウムにある特徴は?」

千世子「メディウムは、時として自分の意図と関係なく、一方的に霊や神々からのコミュニケーションを受けることがあるのだ。ひどい場合は、霊が勝手にメディウムの身体に「降霊」してしまい、そのまま身体を乗っ取ってしまうことさえあるのだ。」

悠「なかなか扱いか雑だな。」

千世子「現代でも、しばしば「霊感の強い人」が存在するが、そういう人は「メディウム」と呼ばれることはあっても「シャーマン」と呼ばれることはないのだ。なぜなら、メディウムが「霊との交流を媒介できる」という「才能」を現す言葉であるのに対し、シャーマンが「役職」をあらわすからなのだ。以上メディウムのじゅぎょーだったのだ。」
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