ー奇談ー學校へ行こう

ー廃校(廊下)ー

夜の校舎、窓から入るネオンの薄明かりを頼りにキシキシと鶯張りの廊下を歩く影が二つ。

悠「はあぁ…」

摩耶「なにかお疲れ気味だね。声もしゃがれてるし」

悠「ちょっとカラオケでな十曲くらい歌って喉が限界……」

摩耶「まさか、悠君がカラオケ!?」

悠「訳ありだ訳あり。もう絶対いかないし。歌いもしない。」

話ながら歩く二人の前からダダダダッと高速で何かが走ってくる。

その何かは悠に飛びかかった。

千世子「うわああぁん!あんちーん。」

悠はソレを両手で受け止めた。

摩耶「ナイスキャッチ」

悠「おいおぃ……どした?」

千世子「知らない人が来て追いかけてきたのだ!あ、ほら!」

千世子が走ってきた方から誰かが近づいてくる。

摩耶「どうする?」

悠「おーい、ちょっと止まれ。」

「うわ、また人居た。」

B系スタイルの服を着た三人組のガキだ。
一人は女。二人は男。

「あれ…小鳥遊さん?」

悠「あー?」

愛美「私ですよ。加藤、加藤愛美。紅さん傘下のT(チーム)・スカーレットパレス(紅城)のリーダーです。」

悠「あ、あぁ。そのカチューシャ。思い出した。一回会ったな。」

愛美「覚えてて貰ってよかったです。それで、悠さんなんでこんなところに?」

悠「ちょっとな。そっちは?」

愛美「調査ですよ。ここの噂知ってますよね?子供の幽霊がでるって」

千世子「千世子、幽霊とちゃうもん!むぐっ」

悠は千世子の口を手で塞いだ。

愛美「まぁ、幽霊じゃなく中坊がたむろしてるのかと思って調べてたら、その娘がいて…」

悠「声をかけようとしたら逃げ出されて追いかけた…と?」

愛美「そのとおりです」

悠「なるほどなぁ。……あのさ、ここって紅のエリアなのか?」

愛美「空白です。人がいないなら私らのチームエリアにする気ですけど」

千世子「ここは千世子のーむぐっー!」

悠「悪いけどさ、ここは勘弁してくれないかな。」

愛美「はい、わかりました。とは言えませんよ。私らもここらを張ってますし、紅さんの顔もあるし……正直、ここ西口ってわかってます?」

悠「……俺に指図されるいわれはないってか?」

摩耶「じゃあ…なに?僕らが今から君らを血祭りにあげてここから追い出せば気が……済むのかな?」

愛美「っ…」

悠「摩耶、やめろ。じゃあ、俺から崇か紅にちゃんと相談するから今日は引いてくれないかな。」

愛美「そういうことなら…」

悠「あのさ…あと、もうひとつ」

愛美「はい?」

悠「話つけるまでで良いからさこの辺りに他のガキとかチーム寄せ付けないようにしてくれないかな。」

愛美「……」

悠「頼むよ。」

愛美「…仕方ないですね。その代わり、今度なんかおごってください。」

悠「ぐむむっ…わかった。」
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