ー奇談ー學校へ行こう(2)

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「今日の天気なんだ。曇天かと思ったら太陽照りだして、かと思ったら曇ってめっちゃムシムシして」

神姫「うっとおしい天気ね。悠と同じ」

悠「ん?」

摩耶「どうかした?」

悠「え、いや、んんー?」

千世子「はい、じゅぎょーしますなのだ。龍造寺の猫騒動には、先述した内容以外にも様々なパターンが存在するのだ。化け猫はクロネコで無く七又の尻尾を持つ白猫であった、又一郎を切ったのは2代目藩主ではなく初代藩主の鍋島勝茂であったなど、あげればきりがないほどなのだ。」

亘理『でも確かにムワムワして汗でるね。』

悠「舐めたい」

神姫「気持ち悪い」

悠「え、塩分ほきゅーだよ?!」

摩耶「うん、気持ち悪い」

千世子「なぜこれほど多くのパターンがあるかというと、鍋島猫騒動は歌舞伎や講談、映画などで何度も上演され、勝手に手を加えられているからなのだ。凝り猫騒動は佐賀県に実際に伝わっている化け猫伝説を脚色した物語だが、実はもともとの話には「龍造寺家の恨み」という要素はあまり見られないのだ。」

サタン「変態なのだ」

悠「口に出しただけで実行してないから紳士だよ」

神姫「つまり塩分がとれたらいいのね。口に塩の塊捻じ込んであげるわ」

スキュラ「それとも塩水飲みます?」

悠「すいません、勘弁してください。」

千世子「その伝説によれば、佐賀藩初代藩主の鍋島勝茂は、兄弟のように育った龍造寺高房が若いうちに死んだことに心を痛め続けていたのだ。老齢になった勝茂が弱っていくのを心配した家臣「千布本右衛門」は、寝ずの番をして勝茂の屋敷を見張って居たのだ。ある日、勝茂の愛人「お豊」が化け猫であることに気付き、得意の槍でお豊をひと突き。お豊は猫の正体を現して逃げていった、という内容なのだ。」

摩耶「塩水飲んでも死にはしないよ」

悠「場合によったら死にますから」

ベヒモス「岩塩を舐めるって手もあるモス」

悠「わかった。全面的におれが悪かったから塩から離れてくれ。」

摩耶「唐辛子にしとく?」

千世子「佐賀藩にこの化け猫伝説が生まれたのは、藩内のトラブルや、鍋島家の後継者争いを隠すため、というのが一般的なものなのだ。」

悠「悪化しとるがな」

亘理『というか、悠ちゃんなんか塩分取りすぎな方だよね?』

悠「え、そこは普通だよ」

摩耶「なら砂糖摂取しないと」

悠「砂糖+塩で中和って式にはなりませんから」

千世子「その中のひとつに「化け猫騒動は、龍造寺家のスパイ行為を隠ぺいするために生まれた」という衝撃的なものがあるのだ。佐賀には千布本右衛門が対峙した化け猫ではなく、龍造寺が送り込んだスパイだというのだ。塚に描かれた猫には尻尾が七本あるが、これはスパイが「七代祟る」と言いだしたことに由来するというのだ。スパイを「なかったこと」にして「鍋島家内部にお家騒動がある」という事実を隠ぺいするため、死者を供養するべき塚を「化け猫を葬った塚」と偽装したという意欲的な説なのだ。以上、龍造寺家の化け猫のじゅぎょーだったのだ。」
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