ー奇談ー學校へ行こう(2)

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

ぴゅぉー!ドザザザッ!

悠「台風すげー雨が針金みたいだ」

摩耶「よくこんな日にも来るよね」

悠「はははっ!」

亘理『それ摩耶君も同じじゃ…』

千世子「風邪ひかないように水を拭いたらじゅぎょーしますなのだ。前回からの続きで鍋島家が佐賀藩を統治し始めてしばらくのちのこと、龍造寺家の直系の子孫は、龍造寺又一郎という盲目の青年ひとりだけになっていたのだ。又一郎は呉の名人であり、二代目藩主の鍋島光茂としばしば碁で対局していたというのだ。ある日のこと、碁で勝敗上の口論から、、光茂は又一郎を斬り殺してしまったのだ。そして家臣の小森半左衛門に命じて、又一郎の死体を壁に塗り込んだのだ。」

神姫「しっかし、今回のは凄いわね。」

サタン「吹き飛ばす?吹き飛ばすのだ?」
そわそわ

悠「やらんでいい」

サタン「ブ~」

摩耶「元気があり余ってるんだね」

千世子「そのころ龍造寺家では、又一郎の妻が夫の帰りを待っていたのだ。すると可愛がっている黒猫のコマが、又一郎の切り落とされた首をくわえて帰ってきたのだ。全てを悟った妻は、駒に『自分の血を啜って龍造寺の恨みを晴らして欲しい」と言い残し、自分の胸を刺して自殺したのだ。こうしてコマは、自分を愛してくれた龍造寺家の恨みを晴らすため、鍋島家とその家臣への仇討を始めたのだ。」

スキュラ「しかし、雨は強いですが風はそれほどではないですね。」

ベヒモス「普通に歩けるモス」

悠「ベヒモスの場合リアルに矢の雨の中でも歩けるだろ」

ベヒモス「岩が降ってきても平気モス」

神姫「装甲が半端ないわね。」

千世子「コマはまず、又一郎を壁に塗り込めた小森半左衛門を狙い、小森の母親を食い殺してすり替わるのだ。だが親孝行者の小森は、すぐ異常に気付きコマを追い払ったのだ。」

悠「しかし、心配なことがひとつある。」

摩耶「お通じ?」

悠「いや、至って快便です」

神姫「……」

悠「じゃなくって!!寒くならないかな」

千世子「次に藩主の鍋島光茂を直接攻撃して失敗したコマであったが、次に恐るべき計画を実行に移すのだ。コマは、光茂の愛人であるお豊に化け、体調を崩した光茂を看病するふりをしながら、長く苦しめようとしたのだ。さらにコマは自分が育てた多くの化け猫たちを屋敷に呼び込み、女中たちを残らず殺してしまったのだ。そして死体を躍らせたり、宙に浮かせるなどの怪現象を起こしたり、鍋島家の統治を嫌う家臣を先導して反乱を起こさせようとするなど数々の謀略を巡らせていたのだ。」

スキュラ「普通に考えたらこれだけ雨が降ったら冷えると思います」

悠「いやだぁぁ!」

摩耶「悠君の時代が終わって真桜ちゃんに世代交代だね」

悠「でも、あの娘10月後半まで冷房だからな。普通はこたつだろ」

神姫「それは早い」

千世子「だがコマにとって最大の誤算は、最初に襲った小森半左衛門が出向先から佐賀藩に戻ってきたことであったのだ。小森は直ちにお豊に化けていたコマの小異を見破り、この化け猫を退治して、佐賀藩に平和を取り戻したというのだ。今日はここまでで続きは次回なのだ。」
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