ー奇談ー學校へ行こう(2)

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「甘いものが食いたい」

摩耶「砂糖」

悠「わー、あっまーい!」

亘理『え、それでいいの?』

悠「よくないなー。蟻じゃないんだから」

【七尋女房】

千世子「じゅぎょーしますなのだ。アジアには「尺貫法(しゃくかんほう)」という、長さや広さ、重さを表示する独特の単位系があるのだ。「尋」というのは成人男性が両手を「ひろげた」時の長さで、現代の単位だと約1.8メートルとなるのだ。つまり妖怪「七尋女房」とは、身長が七尋、12.6mもある巨大な女性の妖怪という意味なのだ。12.6mといえば4階建てのビルの屋上の高さだから、どれだけ大きいのか想像がつくだろう。」

悠「なるほど、それはデカい女だな。」

摩耶「金剛君よりでっかいもんね。」

亘理『そういうレベル?!』

神姫「まぁ、大きいのは有利よね。」

サタン「我も巨大化したいのだ」

千世子「七尋女房の伝説は、中国地方の日本海側、島根県と鳥取県に集中して居るのだ。伝承の内容はまちまちだが、巨大な女性の姿をした妖怪が岩などの自然物に変わり、それが現在も奇岩として残されているという伝承が多いのだ。」

悠「できないのか?」

サタン「できないのだ。巨大な隕石を降らせるのはできるけど」

摩耶「メテオインパクトできたら充分だと思う」

悠「おれはメテオよりポイズンとかのが好きだけどな」

亘理『状態異常のえげつなさ』

千世子「例えば島根県の会場にある隠岐諸島は海士町の伝承では、山道に七尋女房が現れ、道を通る人をおどかしたり、馬を掴んで通行を妨害するなど、様々な悪事を働いていたというのだ。この七尋女房は、たまたまそこを通りかかった地元の庄屋に刀で切られて岩に変わったのだ。この岩「女房ヶ岩」は高さ6m、幅3mもある立派なもので、現在でも年々大きくなっているとまでいわれているのだ。」

悠「最近一番怖かったのがおにぎりだけどな」

亘理『なに、おにぎりって』

悠「文字通りおにぎりになるんだ」

サタン「それが怖いのだ?」

摩耶「おにぎりになったら全特技が使えなくなって攻撃も防御0、水をかぶったら腐って即死、火を浴びたら焼きおにぎりになって即死」

千世子「他にも、道の途中にある岩に近づくと、その岩が七尋女房に変わるという、海士町の逆パターンの伝承も多く、七尋女房と岩の関係の強さをうかがわせるのだ。」

サタン「おにぎり怖いのだ?!」

悠「怖いゾ。イカに投げたら寿司になるし、握り変化に投げたら喉に詰まって即死だし」

亘理『ん?』

神姫「ゲームの話よ」

亘理『なーんだ』

千世子「七尋女房の伝説の多くは「身長」が七尋だとするものなのだ。だがそれ以外にも、別の部分が「七尋」の大きさになっている七尋女房の伝承があるのだ。」

サタン「でも、おにぎりにされるのは怖いのだ」

スキュラ「私も寿司にされるのは困りますね。」

ベヒモス「スキュラはイカじゃないモス」

悠「イカ娘は海かな?」

摩耶「ラヴクラフトさんは?」

悠「おれの影の中に……」

ラヴクラフト「……」
ズズッ

千世子「鳥取県には「七尋女」の名前で、首だけが七尋伸びる妖怪が、桜の木の下に現れるという伝承があるのだ。なお鳥取県西部の甲府町には「七色樫」という鳥取県指定天然記念物の寿樹があり、これは恋に破れて入水自殺し蛇神となった女性が、土砂で川が埋まったため陸上に非難し、樫の木に変わったものだといわれているのだ。地元では七尋女の正体は、この七色樫ではないかと噂されていたのだ。以上、七尋女房のじゅぎょーだったのだ。」
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