ー奇談ー學校へ行こう(2)

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

亘理『悠ちゃん、悠ちゃん、どうどう?』
ダバー
悠「どうしよう。真上から髪が垂れ下がって来ておれの顔にかぶさってくる。」

摩耶「幸せ?」

悠「……割と」

神姫「なかなかの病気ね」

【山彦】

千世子「病気のひとは置いといて、じゅぎょーするのだ。山や谷の斜面に向けて叫ぶと声が戻ってくるのだ。音が山肌に反響し、遅れて跳ね返ってくる現象は「ヤマビコ」または「コダマ」と呼ばれるものだが、昔の人は山の中にいる何かが叫び声に答えているのだと考えたのだ。」

悠「山彦の盾、装備外し、スーパーゲイズ……ウッ、頭が……」

摩耶「トラウマが発動してるね」

神姫「ガイコツ魔王、かすみ仙人」

悠「うっ、うわぁぁっ!」

サタン「うるさいのだ。」

千世子「その犯人がこの妖怪、山彦なのだ。幽谷響とも書き、全身に毛が生えた、猿とも狸ともつかない姿で描かれているのだ。また、寿樹の霊が答えているという考え方もあり、それは「木霊」と呼ばれるのだ。」

悠「はぁはぁ、心が壊れるところだった…」

スキュラ「そこまでですか」

悠「シレンジャーにとってゲイズ、河童、チドロとかは悪魔なんだよ!」

サタン「悪魔……メフィスト。」

摩耶「まぁ、敵で出てきたら性質悪そうだよね。」

千世子「山彦に似た妖怪は全国におり、様々な名前で呼ばれているのだ。中国地方の鳥取県には呼子または呼子鳥という、コダマを起こす妖怪が居るのだ。鹿児島県の奄美大島では、コダマのことをヤマンボと呼び、同じ妖怪の仕業だとしているのだ。」

摩耶「あらゆる状態異常を振りまいて即死振りまきそう」

悠「それはもうシレンの敵じゃないよ。RPGの裏ボスだよ」

神姫「でも、三倍速四回攻撃とかのにやられたら即死よね」

悠「まぁ、シレンは万全の状態でも死ぬときは死ぬから」

亘理『持ち込みダンジョンしかしない』

千世子「山の中では声だけでなく、様々な音が何度も反響して聞こえてくるのだ。こういった前ブレなく聞こえる反響音も山彦の仕業だと考えられたのだ。高知県の山彦は、深い山の中で突然聞こえる、恐ろしい声のことをさしているのだ。」

悠「むしろ持ち込み禁止ダンジョンが楽しいのに」

摩耶「罠ダンジョンとかね」

サタン「我はもっとガーッとなってどーんってなるゲームが好きなのだ。」

悠「なるほど、分からん」

神姫「サタンなんだから勇者を爆殺するのがゲームでしょ」

千世子「山から聞こえてきた声に安易に答えるのは考えものである。もしかすると危険な妖怪の誘い声かもしれないからなのだ。例えば福島県には、山オビラという妖怪が居るのだ。「おらぶ」とは、福岡を含む九州地方の方言で大声で叫ぶ、という意味なのだ。山の中で山オラビに『ヤイヤイ』いうと、山オラビも「ヤイヤイ」とおらび返してきて、ついにはおらび殺してしまう、と伝えられているのだ。山オラビに勝にはひびの入った金を叩くといいらしいのだ。」

サタン「勇者……倒したことないのだ。」

ベヒモス「僕は一回なぎ倒したことがあるモス」

亘理『マジで!?』

悠「倒したことがないっていうか、サタンに近づけてないってだけじゃね?」

サタン「かもしれないのだ。それと今は魔界にある我の城は誰もいないから来ても無駄なのだ」

神姫「ここにいるしね。」

千世子「妖怪以外が声を返すことがあるのだ。日本には声を返すという巨大な岩「鸚鵡石」が三重に二つ、愛知にひとつ、福島にひとつの合計四カ所あるのだ。特に三重県志摩市にある鸚鵡石は幅121m、高さ31mという巨岩で、112代霊元天皇も鑑賞したという逸品なのだ。以上、山彦のじゅぎょーだったのだ。」
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