ー奇談ー學校へ行こう(2)

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「んっ、んん?」
グッグッ

摩耶「首振ってどしたの?」

神姫「取りたいの?」

悠「違います!寝違えたのかちょっと痛い……」

サタン「思いっきりグリンて回せばいいのだ!」

悠「よくねぇよ!!」

【鬼童丸】

千世子「平安時代に活躍していた武士、源瀬光とその配下の四天王は土蜘蛛、酒呑童子などの大妖怪を退治してきた日本最高の妖怪ハンターなのだ。その英雄たちに、無謀にもたった一人で挑んだ鬼が居たのだ。その鬼の名は鬼童丸といい、強大な力を持つ盗賊として恐れられていたのだ。」

悠「雲水のおっさんの血筋じゃね?」

摩耶「そういうこというから殴られたりするんだよ?」

悠「ばんなそかな!?」

一成「空気が読めない奴め」

七緒「おたんちん、バーカ、無駄前髪、長身力持ち!」

悠「なんで最後褒めた」

千世子「瀬光が弟の頼信の家に行った時のこと。頼信の家の厩(うまや)に鬼童丸が捕えられていたのだ。瀬光は縛り方が足りないといい、鬼童丸を鎖で縛り上げさせたのだ。鬼童丸はそれを恨みに思って、瀬光の命を奪う事に決めたのだ。」

神姫「というか、なんで普通にいるの」

一成「……」
七緒「……」

悠「お前らのことだからな」

一成「えーと、ちょっと待って、あ、せんべい食べる?」

七緒「ビスケットもあるぞ」

悠「ああ、どうも」

千世子「鎖を引きちぎって屋根にひそみ、瀬光を狙う鬼童丸だったが、気配を察した瀬光は隙を見せないのだ。そこで鬼童丸は、家来との会話から瀬光たちの行先を推測し、先回りすることにしたのだ。鬼童丸は牛を殺してその皮を嗅附ぶり、瀬光たちを待ち伏せたのだが、瀬光の部下に見破られて弓矢で撃たれてしまうのだ。鬼童丸は矢傷に耐えて瀬光に切りかかるが、逆に首を刎ねられるのだ。たが鬼童丸の執念はすさまじく、身体は首を失った後も倒れず、切り落とされた首は瀬光たちの馬具に噛みついたというのだ。」

亘理『もしかして敵情視察?』

一成「はっはっはっ、敵情視察に決まっているだろう。ぼりぼり。」

七緒「そのとおりだ。はっはっはっ。ばりばり」

亘理『お菓子くってめっちゃくつろいでる風に見える』

スキュラ「いや、見えるじゃなくてくつろいでますよあれ。」

千世子「鎖で縛られた程度の恨みを晴らすにしては、鬼童丸の執念はあまりに深いのだ。なぜ鬼童丸はこれ程にも『打倒源瀬光』にこだわったのだろうか。その理由を鬼童丸の父親に求める説があるのだ。京都府北部の福知山に伝わる伝承によれば、鬼童丸は、源瀬光に退治された鬼「酒呑童子」の子供だというのだ。」

一成「鎖で縛られるのも悪くないものだ」

七緒「ふっ」

悠「しってたけど、コイツら相当の変態だぞ。知ってたけど」

Q子『変・態・っときいて!』
ズボッ!
悠「どうして人の股下から現れる!!」

Q子『淫霊だからですけど?』

千世子「かつて酒呑童子が倒されたとき、多くの女性が助け出されたが、その中に正気を失って故郷に帰れなかった女性がおり、彼女が産んだのが鬼童丸だったのだ。つまり鬼童丸の執念は「父の仇討」からきていることになるのだ。ちなみに鬼童丸は産まれたときから歯が生えていて、7.8歳になると猪や鹿を狩って食うなど、鬼の子供らしい急成長を見せているのだ。」

亘理『素直…』

Q子『素直なスケベもまたスケベなのよ!』
もにもに
亘理『お尻を揉まないで!』

悠「おれも揉みたいわぁ」

一成「くっ、貴様!」

七緒「我々の尻を!」

悠「ねらってねぇよ!!」

神姫「……龍剄気功弾針剄!」
チュドォォン!

千世子「平安時代の武士の活躍を描いた「前太平記」には別の説があり、鬼童丸は酒呑童子と同じように、悪事を働いて破門された僧侶だとしているのだ。酒呑童子とまったく同じ境遇なら、妥当瀬光に執念を燃やすのも道理であるのかもしれないのだ。以上、鬼童丸のじゅぎょーだったのだ。」
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