ー奇談ー學校へ行こう(2)

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「かき氷も純度100%な氷だと一味違うな。かきこんでも頭が痛くならない」

摩耶「かき氷だけに?」

悠「かき氷をかきこむ!」

「「「……」」」

神姫「ゾッとしたわ」

悠「おれは悪くねぇ!!」

【一目連】

千世子「かつて三重県や愛知県では、嵐や台風のことを「一目連」と呼んでいたのだ。つまり一目連は嵐や竜巻を呼ぶ妖怪、あるいは竜巻そのものなのだ。」

サタン「かち割り氷、うまいのだ。」

悠「どうでもいいけど、お前シロップかけすぎじゃね?」

サタン「ふふん、サタンスペシャルカラーなのだ!」

摩耶「あと、五分ぐらいしたら後悔すると思うよ」

スキュラ「どうしてですか?」

千世子「一目連は「ひとつめのむらじ」と読むこともあるのだ。ひとつめの名の通り一目連は目が一個しかない妖怪で有り、一説には隻眼の龍だとも伝えられるのだ。「東海道名所図会」や「甲子夜話」などの、江戸時代の古書にたびたびその名が記されているところから、広く知られている妖怪であろうことがうかがえるのだ。」

神姫「氷にかかっている間は白に赤とか青とかで綺麗だが最終的に溶けて混ざると……」

サタン「茶色い液体になったのだ……」

摩耶「そうなるんだよねぇー」

ベヒモス「なるほどモス」

悠「だからシロップは一択、みぞれだ!」

千世子「一目連は移動するときに激しい暴風雨を巻き起こすため、人々は一目連の動向に常に注意を払っていのだ。さらに、移動時には屋根すれすれの高さを黒い雲が駆け抜けていくことから、三重や愛知の人々は「一目連様がお出かけになる」といい、大変恐れたというのだ。ただし現代で「台風一過」という言葉があるように、一目連(=台風)が去ったあとは天候が穏やかになるといわれていたのだ。」

スキュラ「みぞれってなんですか?」

悠「砂糖水」

スキュラ「……美味しいのですか?」

悠「うまいよ。シンプルで」
どぼどぼ

亘理『なのにかけてるのはビール』

千世子「一目連は小規模な暴風「竜巻」を起こすこともあるのだ。江戸時代には、一目連の暴風は木々をなぎ倒し、天井を吹き飛ばし、大きな岩をも動かすのだが、その被害は非常に狭い地域だけに現れるという噂が広まったのだ。これは明らかに台風ではなく竜巻の特徴なのだ。日常的に竜巻の起こるアメリカなどと違い、日本ではめったに大規模な竜巻は発生しないのだ。そのため竜巻型の一目連の被害は、実体験ではなく噂話として江戸に広まったと思われるのだ。」

悠「かち割り氷に合うのはビールか日本酒」

スキュラ「さっきといっていることが違いますね。」

神姫「適当に生きてるから発言も適当なのよ」

悠「神姫はどっちがいい?」

神姫「宇治金時」

千世子「一目連は、三重県と愛知県の境目にある桑名市の田戸大社で祀られている「天目一箇神」と混同されることが多いのだ。この神社の別宮に「一目連神社」があることも、混同に拍車をかけているのだ。」

悠「神姫優勝」

亘理『そうなの?!』

悠「宇治金時とか最強でしかない」

摩耶「卵黄乗せかき氷」

悠「それは殿堂入りだしな」

亘理『殿堂入り?!』

千世子「天目一箇神は天候と鍛冶を守護する神で、神話でも武器や鏡づくりに活躍しているほか、水害から逃れた、嵐の海から生還したという御利益の話も欠かせないのだ。」

悠「卵黄乗せは裏メニューだからな」

スキュラ「それはかき氷サラダじゃないですか?」

悠「線引きが難しいんだよ」

摩耶「ま、美味しければカルピスでもピクルスでも何でもいいんだけどね」

千世子「ちなみに一目連社には、じんじゃのほんでんにあるはずのとびらがそんざいしないのだ。これは天候の神である天目一箇神が、いざというときすぐに神社を飛び出していけるよう、あえて扉を作らなかったという気配りだというのだ。以上、一目連のじゅぎょーだったのだ。」
48/100ページ
スキ