ｰ教室ｰ

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「そういえば……あの結界って決壊してないな」

千世子「シャレなのだ?」

悠「今のはナチュラルだ」

摩耶「でもぽっかり穴は開いたままなんだよね。」

悠「セメントとかで埋めちゃダメなのかねぇ」

亘理『埋めたら霊道が完全に埋まっちゃうんじゃない?』

サタン「霊道自体をどうにかしないとダメだと思うのだ」

悠「なら、おれにはどうすることもできないな」

摩耶「どうにかしたかったの?」

悠「いいや」

亘理『即答』

スキュラ「あの穴と関係あるかは分かりませんが最近校舎内に変なものがうろうろしていますね。」

千世子「変なもの?」

神姫「変なもの」

悠「なんでおれを見てるんですか?」

神姫「説明が必要?」

悠「……」

ベヒモス「なにを見たモス?」

スキュラ「こういうのです」
スッ
【干乾びたナニカ】

悠「なんだこれ?」

スキュラ「分かりません。捕まえる前はネズミかと思ったのですが、捕まえた後はこうしてミイラみたいにからからに乾いてしまったのです。」

悠「……捕まえて水分吸ったんじゃないのか?」

スキュラ「確かに私にとって水分は大切ですけどこんなものから水分を吸い取りませんよ」

摩耶「というか、これ鼠じゃないの?」

スキュラ「顔を見てください」

千世子「顔……あれ?顔がないのだ」

悠「は?」

神姫「ホント、顔がまるまる口になってるみたいね。」

摩耶「単眼とか複眼じゃなくて口だけっていうのはモンスターだね」

悠「ふーむ……小玉鼠の類ではないよな」

千世子「小玉鼠だったら萎むんじゃなくて破裂するのだ」

亘理『えー……こんなのがうろちょろしてるって怖いんだけど』

悠「妖怪が何言ってる」

亘理『妖怪だって怖いものは怖いんですー!』

神姫「これ、襲ってきたりしたの?」

スキュラ「いえ、ですが狙っているかのように私のあとをついていたので隙があれば触手に齧りつく気だったのかも。」

悠「美味そうだったのかな」

スキュラ「鼠は雑食ですからね。」

摩耶「鼠かどうかも分かったもんじゃないけどね」

悠「まぁ、これについてはあとで管理人ちゃんに……」

義鷹「また出たのかソレ。バクッ!」

悠「食った?!っか、義鷹」

義鷹「気をつけろ、この妖獣、大して力はないけど噛みついてくるからな。」

悠「なにそれこわい」