ー奇談ー學校へ行こう(2)

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「そんで婆ちゃん」

天魔「あ゛?」

悠「楓華」

天魔「気安くそっちの名を呼ぶなっ!」

悠「……」

摩耶「言いたいことは?」

悠「クソめんどくせぇこのロリ婆」

天魔「……」
ガシッ!メリリッ!
悠「やだぁ!この天狗、妖力とかじゃなくて物理でへし折ろうとしてくるっ!」

【百目鬼】

千世子「とりあえずじゅぎょーしますなのだ。目は口程に物を言う、ということわざもある通り、目は人間の顔の中で最も目立つ部位のひとつで、そのため「異常な目」を持つ妖怪の数も多いのだ。」

神姫「この騒ぎでも普通にじゅぎょーを進められる千世子の成長が素晴らしいわね」

摩耶「悠君の腕は常人ならへし折れてるぐらい曲がるようになってるね」

亘理『あのひと怖い……』

大天狗「あの見た目でも天狗界では重鎮ですからね。えらいんですよ。まぁ、えらいだけで行動は子供ですから性質が悪いんですけどね。」

摩耶「どのぐらい?」

大天狗「揺光様と友人です」

「「『ああ、性質悪そうだ(わ)』」」

千世子「栃木県の伝承に登場する妖怪「百目鬼」は体中に無数の目を持つ鬼なのだ。身長3メートルほどの巨体で、刃のような毛を生やし、馬の死体を貪り食うというのだ。妖怪退治で有名な武士「藤原秀郷」がこれを退治することになり、得意の弓矢で胸を貫いたが、鬼の身体から炎と毒気が吹きあがるため、とどめを刺そうにも近寄ることができなかったのだ。」

サタン「とりあえず……離すのだ」
べしッ!
悠「ぎゃっ!」
天魔「おっと」

天魔「我に手を出すとはいい度胸だ!」
ブォン!
悠「ぐぇっ!」
サタン「遅いのだ!」

摩耶「ちなみに天狗さんが来た理由は?」

大天狗「冥殿に頼まれて霊道の調査に来たのです」

千世子「そこに徳の高い僧侶がやってきて祈りをささげると、炎と毒気が収まり、全身の目は消え、外見も鬼から人間に変わってい鍛えたのだ。死体は僧侶の教え通り底に葬られたのだ。以来その場所は百目鬼と呼ばれるようになり、今でも栃木県北西部の塩屋町に地名として残っているのだ。」

スキュラ「あのサタン殿と張り合えているのは凄いですね」

大天狗「私に言わせれば第六天魔王の天魔様に張り合えるあの角の方のが驚きですね。」

摩耶「ああ、どっちも魔王なんだ」

亘理『間でボコボコになってる悠ちゃんの安否が気になる』

ベヒモス「死んでも霊道はすぐ側モス」

千世子「ちなみにこの民話には異説もあるのだ。そちらでは、鬼は逃げ出して400年以上生き、徳の高い法師に説得されて、二度と悪さをしないと誓ったというのだ。」

摩耶「まぁ、90%死なないけどね悠君は」

亘理『その理由は?』

摩耶「アリスちゃんが出てきてないからまだ死ぬタイミングではないって事」

神姫「ちなみに残りの10パーセントは?」

摩耶「事故死」

千世子「江戸時代には多くの「たくさんの目のある妖怪」が生み出されたのだ。その代表格が、妖怪絵師鳥山石燕の「百々目鬼(どどめき)」なのだ。絵の解説文によれば百々目鬼はもともと人間の女性で、生まれつき手が長く、いつも人の金を盗んでいたのだ。すると小銭の精が女の腕に取り憑き、無数の鳥の目になったというのだ。なぜ小銭の精が目になるのかというと、江戸時代の小銭には四角い穴があいていて、この形を「鳥目」と呼んでいたからだというのだ。」

天魔「小娘!表で勝負じゃ!」

サタン「望む所なのだ!」

悠「はぁはぁ、超痛ぇっ!」

摩耶「普通に戻ってきたね」

悠「めっちゃ顔とか痛い……」

神姫「面白いくらい鼻血でてるわよ」

亘理『はい、ティッシュ』

悠「チーン!」

千世子「鳥山石燕はこの妖怪の伝承が「函閑外史」という本に書いてあったと解説が記しているが、函閑外史という本が実在したという記録はないのだ。そのため現在では、百々目鬼は鳥山石燕が創作した妖怪で「函閑外史」も鳥山石燕がでっちあげた架空の本だという見方が有力になっているのだ。以上、百目鬼のじゅぎょーだったのだ。」
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