ー奇談ー學校へ行こう(2)

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

千世子「では、改めましてじゅぎょーしますなのだ。」

摩耶「いいけど、教室が一気に禍々しくなったね」

神姫「窓、壁に不気味な札貼ってればね。」

悠「っか、妖怪とモン娘ぐみは平気なのか?」

亘理『私は平気』

【安宅丸】

千世子「妖怪の中には、物品に人格が芽生えたものが数多くいるが、今回じゅぎょーする安宅丸はそういった「付喪神」と呼ばれる妖怪の中でも特に巨大なものなのだ。この妖怪は戦艦、つまり巨大な船なのだ。」

摩耶「外の霊魂だけを弾いてるのかな」

サタン「我にはこんな札効果ないのだ」

悠「ホントかよ」
ペトッ
サタン「あ、ちょっと痺れるのだ」

悠「札って貼られると痺れるんだな」

千世子「戦国大名の北条氏直が建造した軍艦が北条市を下した豊臣秀吉の手に渡り、つまり徳川家康に没収されるという激動の経緯をたどり、最終的に徳川幕府の所有物として江戸の港に保留されることになったのだ。」

サタン「ああ、肩とかにはると丁度いいのだ」

スキュラ「低周波マッサージじゃないのですから」

悠「おっぱいがでかいとやっぱり肩こるんだな……アレ亘理こってたっけ?」

亘理『こらないけど?』

神姫「逆さでいるからでしょ」

「「『ああ、なるほど』」」

千世子「江戸時代中期の物語集「新著聞集」に掲載された伝承によると、安宅丸は暴風の日に、故郷ノイズに向かって勝手に航行し始めたことがあるというのだ。幕府の水軍が安宅丸を途中で捕え、その後は逃げられないように45本もの鎖で保留されることになってしまったのだ。のちに安宅丸は解体されたが、強すぎる自我は安宅丸が船でなくなっても健在だったのだ。解体された安宅丸の材料を買い取った男が、穴蔵のふたにそれを使ったところ安宅丸はそれを嫌がり、男の妻(話によっては召使)に取り憑いて蓋として使う事をやめさせた、などという話が残っているのだ」

ベヒモス「僕は凄く肩こるモス」

摩耶「べヒちゃんは装甲がね」

悠「そりゃまぁ、そんな重いの全身で背負ってたらこるわな……」

スキュラ「マッサージ如何ですか?触手マッサージ効きますよ」

悠「なにそれエロい」

千世子「安宅丸の伝説のモデルとなった「安宅丸」は、実在した江戸幕府の軍艦だったのだ。資料によれば全長約46メートル、幅16メートルという国内最大の船で、これは当時大航海時代に湧いていた海洋先進国ヨーロッパの軍艦「がレオン船」に匹敵する大きさだったのだ。」

スキュラ「エロくはないです。触手で全身をもみほぐすのです。」

悠「いや、エロい。是非やってくれ」

神姫「弾針剄」
チュドン!
悠「のばらっ!」

摩耶「悠君にお札貼ったら効かないかな」

神姫「一度息の根を止めないとダメでしょ」

千世子「だが安宅丸は、幕府三代目将軍の徳川家光の代、1630年代に完成したため、北条氏が建造したという「妖怪船」安宅丸の経歴は、後世の創作という事になるのだ。以上、安宅丸のじゅぎょーだったのだ。」
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