ー奇談ー學校へ行こう2

ー教室(2/26/夜)ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業がはじまろうとしていた。

摩耶「島津っていったら示現流だよね。」

悠「そうだ。「一の太刀を疑わず」または「二の太刀要らず」といわれた。髪の毛一本でも早く打ち下ろせと教えられるんだぞ。初太刀から勝負のすべてを掛けて切りつける先手必勝の鋭い斬撃が特徴な。」

花描「新撰組の近藤勇が島津のものとやるときは初太刀を外せっていったくらい有名だな」

神姫「なに、武将ブームなの?」

悠「神姫はどんな武将が好きだ?」

神姫「カルタゴの雷光。ハンニバルバルカ」

悠「ローマは100万の敵は恐れないが、ハンニバルバルカには恐れたの?」

神姫「えぇ」

悠「武将じゃないよな」

神姫「五月蝿い」

千世子「さぁ、今日のじゅぎょーはこれなのだ」

【バード】
ケルト文化の歩く図書館

悠「五月蝿いっていわれた…」

摩耶「どんまい」

花描「動かない大図書館なら知ってるな」

千世子「バードはケルト文化の聖職者「ドルイド」から分化した詩人なのだ。ドルイドのじゅぎょーで述べたとおり、ドルイドとバードはもともと同じ役職であったのだ。」

摩耶「金剛くんは動く大胸筋だよ?」

花描「あ、あぁ…そう。」

千世子「バードとドルイドに分けた理由はなんだったのだ?神姫ねーちん」

神姫「ドルイドは文字を使わず、口伝によって知識を暗唱する。時がたつにつれドルイドが覚えるべき知識量が膨大になりすぎてしまった。そこで「社会の指導者」と「知識の伝承者」という役割を分割し、それぞれドルイドとバードに分担するようにした。」

千世子「はい、そうなのだ。バードはドルイドに比べるとずいぶん地道な仕事なのだ。実際、役職が分化したあとの社会的身分だけを比べると、ドルイドのほうがバードより高位だと考えられていたのだ。しかし役職の重要性という意味では、ドルイドとバードはほぼ同等だったのだ。」

悠「まぁ、パソコンのハードディスクの役割だしな」

千世子「おそらく政治的判断が必要になったときは、バードが膨大な知識を検索して選択肢をいくつか提示し、それをみたドルイドが、社会情勢などを総合的に考慮しながら最終的に判断を下す…というスタイルで政治を進めていったものと考えられるのだ。」

悠「裁判の先駆けみたいだな」

千世子「あと、バードとトルバドールはまったく別物なのだ。両者とも、知識が豊富で知性が高いことは共通していたが、両者の最大の違いは、持っている知識の内容なのだ。バードは公職であり、口伝によって覚える知識は代々のバードやドルイドによって引き継がれてきた、いわば「公文書」であるのだ、これに対してトルバドールの伝える詞歌は、あくまで自作のものであり、本人の創作だったのだ。以上、バードのじゅぎょーだったのだ」
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