ー奇談ー學校へ行こう(2)

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「チョコラータ・カルダ・ピザシリーズ。甘酸っぱいイチゴと、今大人気のココナッツオイルがほんのり香る、特製チョコアーモンドクリームがまろやかでスイートな味わい。チョコレート&ストロベリー……なめんなっ!」

サタン「よく噛まずに一息でいえるもんなのだ。」

亘理『というより、ピザのチラシを読んでひとりでツッコミ入れてるのはなんなんだろう』

摩耶「悠君的にはデザートピザは無しって事らしいよ」

神姫「どっちにしろうるさいわね」

【鮭の大助・小助】

千世子「はい、じゅぎょーしますなのだ。新潟お呼び山形県をはじめとした東北地方には、鮭の大助と小助という少々変わった名前の妖怪魚が伝わっているのだ。大助は馬ほどの大きさだという巨大な鮭で、1000匹の鮭を子分に持つ大将なのだ。一方小助は大助の妻の鮭なのだ。」

スキュラ「なかなか美味しそうだと思いますけどね。」

ベヒモス「僕はこっちのベジタブルスペシャルのが好みモス」

亘理『お野菜ホント好きだね。べヒちゃん』

悠「肉食えないわけじゃないんだよね。」

ベヒモス「適度には食べるモス。でも、やっぱり野菜がいいモス」

千世子「この夫婦は毎年必ず同じ日に同じ川をさかのぼるのだが、その時夫の大助は「この川を、鮭の大助と小助が、今から登るぞ」と、大声を出すというのだ。この大声を聞いたものは、短ければ3日、長くても1年以内に何らかの災いで死んでしまうというのだ。そのため川辺で漁業を営む人々は、大助が川をさかのぼる日には絶対に漁に出ず、川にも近づかないのだ。その代わり祭りを開いて酒を飲み、大助の声を打ち消すかのように大騒ぎをして過ごすのだ。更には大助の来る時間になると家に帰ってすぐ眠ったり、食べると不吉な声が聞こえなくなる魔術的な効果があるとされた餅「耳塞ぎ餅」を食べたり耳に詰めるなど、大助の声への対策を幾重にもして備えたのだ。」

悠「おれはこっちのパーティポテトがいいな」

神姫「なぜサイドから選ぶのよ」

スキュラ「摩耶どのはどういったものがお好みですか?」

摩耶「餅ピザ照り焼きソースとかかな」

亘理『なんかすごいピザだね』

摩耶「神姫さんは?」

千世子「ちなみに鮭の大助が川を上る理由は、鮭の産卵に合わせて小助に子供を産ませるためだとも、森の神様などの神々を参拝するためだともいわれているのだ。」

神姫「そうね……。マリゲリータかしら」

悠「ピザ界ではシンプルだな」

亘理『なんかピザ食べたくなってきた』

悠「ここって出前……」

摩耶「無理でしょ」

千世子「新潟県新潟市付近には、鮭の大助・小助の詳しい伝承が残されて居るのだ。新潟市は信濃川と阿賀野川という新潟の二大河川が合流する場所であり、伝承によればここに大助と小助が住んでいたのだ。この地では大助と小助が神のように恐れられており、彼らが川を登る11月15日には、漁を休み祭りを開く習わしだったのだ。」

悠「無理だわな」

神姫「予約しといて受け取って帰ったらいいじゃない」

亘理『……』

神姫「なによ」

亘理『……なんでもないです』

千世子「この周辺の豪族「王瀬長者」はそれを不愉快に思い、漁師たちに『11月15日は漁に出て、大助と小助を捕えろ』と命じたのだ。すると前日の14日、長者の枕元に男女の子供が立ち、鮭の夫婦は川を守護する守り神だから捕まえないでやってくれと懇願したのだ。しかし、長者はそれを無視して、漁師たちと共に川へ網を入れたのだ。」

悠「いじめてやるなよ」

神姫「いじめてないでしょ」

摩耶「悠君が皆のピザを注文して、皆のピザを受け取ってここに戻ってくるでFA」

神姫「それでいいわね。」

悠「……まぁいいけどさ」

サタン「色々となれてるのだ。」

千世子「しかし網を引き上げても、大助どころか魚一匹かからないため、そのうち漁師たちは怖がって家に帰ってしまい、長者だけがその場に残ったのだ。するとその場に謎の老人が現れ、長者にウナギを献上したのだ。長者が持ち帰ったウナギを家族とともに食べたところ、食べた全員が死んでしまったというのだ。以上、鮭の大助・小助のじゅぎょーだったのだ。」
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