ー放送ー⚡電脳ラジオ(仮)⚡

ー稲葉の部屋(仮)ー

稲葉「毎回お馴染み。古川稲葉と…」

禅「烏哭禅の…」

稲葉・禅「「電脳ラジオ!」」

稲葉「今日のゲストはトップティナーをやってくれてる梓君とラスタラヴでボーイをしてくれてる澪君よ」
澪「よろしく。…なんか、不思議な感じだな。」

梓「俺はたまに裏方やってるから慣れたよ。」

澪「じゃ、話すよ。ある夏、ある遊び仲間9人で、2台の車に分乗して山のキャンプ場に向かっていた……」
特にほそい道に差し掛かった時、にわかに小さな渋滞が発生した。

対向する2台のマイクロバスが、すれ違いに手間取っている様子だった。

この時、こちらの車より前を走っていた仲間の車は、他人の車を1台はさんで、2つ前に停車していた。

それを見て、こちらの仲間の一人が、ある異変に気が付いた。

「見ろよ。あいつらの車のボンネットで、赤ん坊がおむつを替えられてるぜ」

注目すると確かに、見知らぬ女性がどこからともなく現われ、仲間の車のボンネットに赤ちゃんを仰向け寝かせ、シモの世話をしているように見えた。

こちらの車内は爆笑のうず。

携帯でからかってやろうダイヤルしたが、圏外でもないのに、なぜか一向につながらなかった。

そうこうするうちにバスが無事すれ違い、渋滞の列がすいすい動き始めた。

仲間の車も、何事もなかったかのようにスピードをあげ始めた。

ボンネットの上に赤ん坊を載せたままなのに……。

当然、赤ん坊の母親が、血相を変えて猛ダッシュで仲間の車を追いかけ始めた。

よく見ると、彼女の足は素足で赤い血がにじんでいるように見えた。
再度、携帯で連絡しようとしたが、やはりつながらない。

気づくとスピードメーターがとっくに40キロをこえていた。

それでも、赤ん坊の母親は髪の毛を振り乱しながら仲間の車のギリギリのところで追いつこうとしている。

人間じゃない?
しばらくして、仲間の車が小さなトンネルをくぐり抜けた時、母親が、

「クソォーーー!!!」
と絶叫したあと、追うのをあきらめたようにゆっくりと立ち止まった。

次の瞬間、我らの車も母親を追い抜き、同時に振り返ってみたら、一瞬で母親の姿はどこへともなく消え失せていた。

ほどなくしてキャンプ場に到着した。

先に着いた仲間の車のボンネットに、もはや赤ん坊の姿はなかった。

途中の道にも落ちてなかったはず……。
どうやら母親と同じように生きた人間ではなかったみたいだ。

我われは、仲間にくわしい事情を聞こうとしたが、じつはそれどころではなかった。

その車のステレオのスイッチを切っているにもかかわらず、スピーカーから、かぼそい赤ん坊の泣き声が「ううぎゃ~うぎゃ~うううぎゃ~」といつまでも鳴りやまなかったのだ。

同乗の女の子たちは外でうずくまり、ヒステリーを起こして手がつけられない状態……。

このままではキャンプも不可能みたいだし、きゅうきょ別の道を選んで帰宅し、そのままお開きとあいなった。

澪「その後、例の車の持ち主は、「まだ泣きやまない。恐くて一人では乗っていられない」といい、中古車として売り飛ばしたそうだよ…中古車を買う時はステレオのスピーカーに赤ん坊の泣き声が聞こえてくるか確かめた方がいいかもな…」

梓「じゃ俺ね…あるアパートで下宿をしてた奴の話だ…」

そこはすごい田舎で、夜なんかは本当に真っ暗。

夜中に出かける人はほとんどいません。
それでも、夜は静かでかぜも気持ちいいし暮らすにはとてもいいところでした。
でも、なんかへんなことが起こるんです。
ちょうど1ヶ月前のことです。

その日は一息ついたのがちょうど1時20分くらいだったでしょうか。

明日も早いのでそろそろ寝ようかと思って布団にもぐりこみ、電気を消しました。

そして、目をつぶり一呼吸、二呼吸ぐらい

ドンドンドン!ドンドンドン!

と部屋の扉を叩く音がします。

「わっ。」

僕はびっくりして飛び起きました。

ドンドンドン!ドンドンドン!

(びっくりしたぁ、だれだろ・・・。)

そう思って、手探りで蛍光灯の紐を探して
電気をつけました。

すると、その扉を叩く音が急に止みました。
部屋の扉に小さなすりガラスが付いているので、そこに電気の明かりが写り、でぼくが起きたとわかったのでしょう。

ぼくはそのまま布団から出て、扉を開けたが…

そこには誰もいません。

廊下は2つに一つに割合でしか蛍光灯はついておらず、部屋の中に比べると廊下はかなり暗く廊下の端も良く見えない…

ぼくはそのまま扉を閉め、また布団にもぐりこみました。

そして、一呼吸、二呼吸したところで

ドンドンドン!ドンドンドン!

また、なにかが扉を叩く音がします。

ドンドンドン!ドンドンドン!

扉を叩く音が止む気配はありません。
心なしかその叩く勢いが強くなっているような気がします。

ぼくは布団を頭からかぶったまま右手だけを出して、蛍光灯の紐を引きました。

パッと灯りがついて部屋が明るくなった気配がします。

ぼくは恐る恐る布団の隙間から部屋の様子を見て、そして一気に布団を跳ね除けました。

扉の音は消えていました。

その夜、ぼくは蛍光灯の灯りを消すことが出来ませんでした。

梓「何に叩かれたのかは未だ不明だが…そいつはそれ以来、夜に電気を消すことが出来なくなったらしいぜ…」
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