ー放送ー⚡電脳ラジオ(仮)⚡

ー稲葉の部屋(仮)ー

稲葉「毎回お馴染み。古川稲葉と…」

禅「烏哭禅の…」

稲葉・禅「「電脳ラジオ!」」

稲葉「今日はゲストも引き続いて揺光と悠よ」

悠「また、コイツとか…」

揺光【照れるな、照れるな。】

悠「照れてねぇよ。少し前テレビで恐怖漫画家か何かのインタビューで語っていた話で…」

彼の家は非常に変わった作りになっている。
屈折した廊下や歪な天井。

加えて壁から屋根から様々な蛍光色でサイケに塗りたくられている。

インタビュアーがその理由について問うと、巨匠はこう言った。

以前は普通の家だったんです。ところがある夜中に知らない女の人がやってきて、いきなり私にこう言ったんです。

「もう私の事を書くのやめてください」

そう言って長い髪の毛あげたらね、目がひとつしかなくて。恐くてねえ。で、家だけでも派手にすれば恐くないだろうと思って

悠「内容は三流の話だが、淡々と微笑で語る巨匠の方が俺は恐かったな」

揺光【どれどれ…少し趣を変えた恐について話すか…】


ある子供が、小さいときに買ってもらったクマのぬいぐるみ。

背中にチャックが付いていて中に小物が入れられるようになっていました。
それをよく学校に持っていって遊んでいたのですが

ある日の給食でインゲンが料理の中に入っていました。

インゲンが嫌いだった子供は当然残したのだけれど、担任の先生が「残さず食べなさい」とうるさい。

そこでぬいぐるみのチャックをすばやく開け、クマの背中へインゲンを投入。

作戦は大成功でした。

インゲンから開放された安堵感と給食の満腹感で少し気が緩んでしまったのでしょう。

放課後にはクマの中のインゲンのことはすっかり忘れていたのです。

しばらく経つとぬいぐるみには興味が無くなっていました。

6月のむし暑いある日、なぜか急に部屋の隅に転がっているクマに目が行きました。

背中をこっちに向けて、ふてくされるように転がっているクマ。

そのクマが今まさに動いているのです。
動いていると言うより蠢いている?という感じで。

背中のあたりが。
その瞬間、あの日の給食の出来事が鮮明に頭に蘇ったのです。

それと同時にあぶら汗も顔に噴出し、鳥肌が体中を駆け巡りました。

そして「燃やそう」という作戦が瞬時に立てられたのです。

新聞紙をくしゃくしゃにしてその上にぬいぐるみを置く。

火を新聞紙に点火すると少し離れた所からそれを見守りました。

ぬいぐるみが徐々に燃えると同時に何かが中から溢れてきました。

黒いものと緑色のもの。最初は「綿かな?」と思っていたのだけれど

揺光【近くによって良く見ると、大小様々な蟲がウゾウゾと出てきたのじゃ】

悠「うわ…想像しちまった…」
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