ー放送ー⚡電脳ラジオ(仮)⚡

ー稲葉の部屋(仮)ー

稲葉「毎回お馴染み。古川稲葉と…」

禅「烏哭禅の…」

稲葉・禅「「電脳ラジオ!」」

稲葉「今日はゲストはILOVEつかさでお馴染みのともき君とイタズラの伝道師の悠よ」

ともき「……」

悠「おいおい、機嫌直せよ~。」

ともき「うっさい。」

悠「わかったわかった。謝るから。ごめんね、ごめんねー!」

ともき「謝る気無いだろ!」

稲葉「はい、漫才はその辺でね。」

ともき「ったく、俺の体験話しだ。子供の時…」

俺は学校からの帰り道いつものコースでひとり家に向かっていた。

駅前の商店街を歩いている時だった。

線路沿いに並ぶ商店の一画に、前から空き地があった。

20坪くらいの三角形の土地だ。

両隣には商店が続いていて、そこだけポッカリ空いている。

いつもは誰もいないその場所に、今日はおじいさんやおばあさんが何十人と集まっている。

20坪の土地にビッシリと、身動きできないくらいいる。
俺は、なんかの集会かなあ、と思った。

しばらく眺めながら通り過ぎたが、ふと、あんなに人がいるのに声が何も聞こえなかったなあ、と思い、振り返った。

誰もいなかった。

考えてみれば、バラ線で囲まれ、人が入れないようにしてあるわけだ…

ともき「今でもあの光景は目に焼き付いているよ…。」

悠「じゃ次俺ね。親父の会社で聞いた話しだ」

手を挙げたのは悠。

乗車中にウォークマンを聴いているとそのまま寝てしまい、降車するバス停を乗り過ごしてしまうことがたまにある。

その日も起きているつもりが、いつの間にか寝てしまった。

しかし唐突に、まるで人に起こされるかのようにガバッっととび起きた。

金縛り状態から無理矢理脱出するようなあの感じ。

瞬間我に返り、あ!また乗り過ごしたか?って思ったら、幸いまだ降りるバス停の2つ手前だった。

次のバス停では、けっこう人が降りていく。

俺はその背中をボンヤリ眺めながら、ああ次降りなきゃって眠いのを我慢していた。

バスが走り出した途端、真後ろの席で女性(声の様子で)が喋りだした。

「…で……おねがい…ね……でね…ね…おねがいしますね」

携帯か…って思った。
携帯のお喋りがきこえるのが余り好きではない。

ただ俺の住んでいるところは東京の田舎だから、バス停からさらに遠い人は、降りるバス停が近づくと携帯で家に迎えの要請をすることが多い。

次が降りるバス停だから、私は降車ブザーが鳴るのを待った。

いつも降車ブザーを自分で押さないタチなのだ。

でも誰も降りないらしく、いっこうにブザーが鳴らない。

後ろの女性は相変わらず喋っている。

声のトーンはますます下がり何を言っているかはわからない。

俺は少しだけムッとしていた。

仕方がないので自分で降車ブザーを押そうと手を伸ばしたその瞬間、ハッキリと

「お前にだよ」

と言って声が止んだ…。

ん?と思って振返ると…

悠「乗客はそいつだけだったそうだ。」
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