ー放送ー⚡電脳ラジオ(仮)⚡
ー稲葉の部屋(仮)ー
稲葉「毎回お馴染み。古川稲葉と…」
禅「烏哭禅の…」
稲葉・禅「「電脳ラジオ!」」
稲葉「今日はゲストは神隠しの主犯八雲紫さんよ。
紫「はーい、よろしくね。私はよくある有名な奴を話すわ…」
ある年、都内某所にて、ある女が赤ちゃんを産んだものの育てられず、駅のコインロッカーに遺棄して死なせてしまう事件が発生した。
警察の懸命の捜査も虚しく、遺棄した人物は特定できず、その女は平穏な生活へ戻っていった。
それから数年後、その女はごく平凡なサラリーマンと結婚し、幸せな家庭を築いていた。
そして、結婚2年目のその身体には、新たなる生命が宿っていた。
その女にとっては、2度目の妊娠であった。
妊娠してみて、その女は初めて、以前捨てた子供のことに思いをはせた。
「これから産もうとする子と比べ、なんて可哀相なことをしたのだろう…」
女は自責の念に駆られ、人知れず涙した。
そしてその女は、「せめて花だけでも添えて供養したい」と思い、花を持参して赤ちゃんを捨てたコインロッカーの所へ向かったのであった。
あの日以来、決して足を向けることのなかったその駅は、数年の歳月を経て、その雰囲気は大きく変わっていた。
そのため、女は例のコインロッカーの場所がわからず、途方に暮れるのであった。
交番や駅員、あるいは町行く人々に聞けばよいのだが、「後ろめたい事をしている」という気持ちのせいか、それもできず、いたずらに時間だけが過ぎていった。
妊娠している身体がきつくなってきた。
その時、「コインロッカーを捜してるの?」と、突然背後から声がした。
振り向くと、そこには8歳ぐらいの色白の男の子がたっていた。
「うん、そうなんだけど、場所がわからなくて…」
と言うと、男の子は…
「僕、知ってるよ!こっちだよこっち」
…と言って、女の手を取り迷路のような構内を走り始めた。
心身ともに疲れきっていた女は、その子供に引かれるまま、その後を着いていった。
そして、女はあのコインロッカーの前に辿り着いた。
女は、安堵感から「フー」と一息ついた後、男の子に「ありがとう」と礼を言った。
男の子は、ニコリともせず、ジーッっと女の顔を見ていた。
その時になって初めて女は、いくつかの不審点に気がついた。
この男の子は、どうして1人なのだろう?
なんで、こんな迷路のような駅の構内を熟知しているのだろう?
そして……
どうしてこの子は、私がコインロッカーを捜していることがわかったのだろう?
女は、恐る恐るその子にきいてみた。
「僕、1人みたいだけど、ママとかは一緒じゃないの?」
すると男の子は、ようやく女から視線を外して、うつむき、小さな声で
「ママはママはママはママはママはママはママはママは…」と狂ったように唱えた後、再び女の方を向き、
「ママはお前だ!!!」
と叫んだのであった。
紫「翌日、無理矢理ロッカーに詰め込まれた女の死体が発見されたそうよ…」
稲葉「毎回お馴染み。古川稲葉と…」
禅「烏哭禅の…」
稲葉・禅「「電脳ラジオ!」」
稲葉「今日はゲストは神隠しの主犯八雲紫さんよ。
紫「はーい、よろしくね。私はよくある有名な奴を話すわ…」
ある年、都内某所にて、ある女が赤ちゃんを産んだものの育てられず、駅のコインロッカーに遺棄して死なせてしまう事件が発生した。
警察の懸命の捜査も虚しく、遺棄した人物は特定できず、その女は平穏な生活へ戻っていった。
それから数年後、その女はごく平凡なサラリーマンと結婚し、幸せな家庭を築いていた。
そして、結婚2年目のその身体には、新たなる生命が宿っていた。
その女にとっては、2度目の妊娠であった。
妊娠してみて、その女は初めて、以前捨てた子供のことに思いをはせた。
「これから産もうとする子と比べ、なんて可哀相なことをしたのだろう…」
女は自責の念に駆られ、人知れず涙した。
そしてその女は、「せめて花だけでも添えて供養したい」と思い、花を持参して赤ちゃんを捨てたコインロッカーの所へ向かったのであった。
あの日以来、決して足を向けることのなかったその駅は、数年の歳月を経て、その雰囲気は大きく変わっていた。
そのため、女は例のコインロッカーの場所がわからず、途方に暮れるのであった。
交番や駅員、あるいは町行く人々に聞けばよいのだが、「後ろめたい事をしている」という気持ちのせいか、それもできず、いたずらに時間だけが過ぎていった。
妊娠している身体がきつくなってきた。
その時、「コインロッカーを捜してるの?」と、突然背後から声がした。
振り向くと、そこには8歳ぐらいの色白の男の子がたっていた。
「うん、そうなんだけど、場所がわからなくて…」
と言うと、男の子は…
「僕、知ってるよ!こっちだよこっち」
…と言って、女の手を取り迷路のような構内を走り始めた。
心身ともに疲れきっていた女は、その子供に引かれるまま、その後を着いていった。
そして、女はあのコインロッカーの前に辿り着いた。
女は、安堵感から「フー」と一息ついた後、男の子に「ありがとう」と礼を言った。
男の子は、ニコリともせず、ジーッっと女の顔を見ていた。
その時になって初めて女は、いくつかの不審点に気がついた。
この男の子は、どうして1人なのだろう?
なんで、こんな迷路のような駅の構内を熟知しているのだろう?
そして……
どうしてこの子は、私がコインロッカーを捜していることがわかったのだろう?
女は、恐る恐るその子にきいてみた。
「僕、1人みたいだけど、ママとかは一緒じゃないの?」
すると男の子は、ようやく女から視線を外して、うつむき、小さな声で
「ママはママはママはママはママはママはママはママは…」と狂ったように唱えた後、再び女の方を向き、
「ママはお前だ!!!」
と叫んだのであった。
紫「翌日、無理矢理ロッカーに詰め込まれた女の死体が発見されたそうよ…」