ー放送ー⚡電脳ラジオ(仮)⚡7

ー稲葉の部屋(隣)(10/6/夕)ー

稲葉「毎度お馴染み。笑いと癒しを提供する古川稲葉と…」

禅「烏哭禅…と…」

優希「千歳優希&…」

紅菜「紅菜の…」

稲葉「電!」
優希&紅菜「「脳!」」
禅「ラジオ…!」

稲葉「はい、電脳ラジオの時間よ。今日のゲストは柏さんと金剛さんよ」

柏「偽善者をみると吐き気がする俺だ。」

金剛「今日で最後、今日でラストと噛みしめる俺だ。」

優希「お疲れ様です」

金剛「まだ、その台詞は早いって」

柏「ふんっ」

紅菜「嫌いな物、好きな物と聞いてきましたけど、今日はもっと踏みこんだことを聞いてみていいですか」

柏「なんだ?」

紅菜「悠さんのどこが嫌いなんでしょうか」

柏「……」
ミ゛ギッ!

金剛「曲がってる。柏、テーブルの角、曲がってる」

柏「タバコいいか。」

稲葉「どうぞ。」

柏「ふぅーー……。人間はな、いや、生きものはこの世に生まれた以上、汚く、醜く、奪い合って生きていく。それが、生きるってこと、それが人間だ。だが、アイツは闘いを棄権(おり)る事がある。闘いを降りることは死と同義だ。」

優希「……」

金剛「つまり、逃げてる悠が気にいらないと?」

柏「生きてることも腹立たしいな。」

優希「完全否定」

柏「アイツは特に不安定だ。感情に左右されやすい。特に「可哀想」といううすら寒い感情に左右されがちだ。」

優希「そう……ですか?けっこうシビアでピン切りと思いますけど」

柏「……例えば可哀想だと野良ネコに餌をやったとする」

優希「はい」

柏「「可哀想」っていうなら、その猫の一生を死を全うさせることができるのか?今そこで生き延びて避妊も去勢もしていない猫が何十匹と子供を産むが、その子猫の一生も世話できるのか?さらにその野良ネコが増えればどこぞで糞尿を撒き散らし悪臭で不衛生で近隣住人に盛大な迷惑を及ぼしたり、よその魚や鳥や兎等のペットを喰い殺したり、クルマに惹かれたり、そして保健所に連れていかれて里親の見つからない多くの猫は殺処分されてもいいんだな?」

優希「……」

紅菜「……」

金剛「……」

柏「一時的な「可哀想」だけで安易に餌を与える行為こそが猫にとっても人間にとっても最も残酷で可哀想なことだ。一生面倒をみるという意志が無ければ動物を虐待する奴や捨てるやつと同じだ」

稲葉「あら、でも、一生面倒をみる覚悟があるから行動している場合もあるんじゃない?」

柏「あぁ?」

稲葉「面倒をみる覚悟があるから預かるし、依頼を全うする覚悟があるから請け負うし、誰かを慕い続ける覚悟があるからひとつだけに傾けられる。そうじゃなきゃ、柏さんがイラだっ…むぐっ」

金剛「それ以上、言わない方がいい」

柏「……先に帰る」
コツン……ころころ…

優希「なんスか……これ?」

金剛「引きちぎったテーブルの端を力いっぱい握りしめて塊りにしたものだ……柏のピンチ力(摘まむ力)ならそれだけで凶器になる。なんでも弾にして、打ち飛ばせるからな」

優希「怖っ…」

稲葉「それじゃあ今日の放送はここまでよ。メインパーソナリティは古川稲葉と」

禅「烏哭…禅で…お送り…しました。」
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