ー放送ー⚡電脳ラジオ(仮)⚡6

ー稲葉の部屋(隣)(8/17/夕)ー

稲葉「毎度お馴染み。笑いと癒しを提供する古川稲葉と…」

禅「烏哭禅…と…」

優希「千歳優希&…」

紅菜「紅菜の…」

稲葉「電!」
優希&紅菜「「脳!」」
禅「ラジ…!」
貞子たん『お~!』

稲葉「はい、電脳ラジオの時間よ。今日のゲストは悠とミハイル殿下よ」

悠「ふぅ…ちょっと休憩しよう。すまんがお茶を一杯もらえるかな」

ミハイル「はーい、アナタ。お熱いですからきをつけてくださいね。」

悠「ありがとう。お前の淹れてくれるお茶はいつも美味し……うっ!!く、苦しい、なんだ、ま、まさかこの中に毒……が?」
バタリ

ミハイル「やっとくたばったわね。これでこの男の財産はぜーんぶ私のものよ。オホホのホ~♪」

優希「……」

紅菜「……」

悠「なーんちゃってのおれだ。」

ミハイル「ミステリー毒性医学研究機構一人者の僕だ。」

優希「何ですか今の寸劇は」

悠「うむ。火サス亡き今でもミステリーの冒頭としては超ありがちな展開だが」

ミハイル「とはいえ実際問題として、お茶をすすっただけで即死するような毒は本当にあるのかっという疑問を考える僕だ」

悠「ちなみに小説やゲーム、漫画だと口紅に仕込まれていて、口に着けただけで即昇天というデンジャラスな毒まで登場するけどな。っでだ、こけほどの威力を秘めながら、被害者がなんの疑問も抱かずに口紅を使用してしまうほど無味無臭な毒は存在しうるのだろうか。」

紅菜「ググればどうですか?」

優希「おい」

悠「今やググればなんでも答えが出てしまう難儀な時代だな。」

ミハイル「高尚なテーマも綿密なトリックも、チープな毒物が登場するだけで一気に陳腐化してしまう。だから、今一度ミステリーに登場する毒を考察しなくちゃならんのだ!!」

優希「知らないですけど……」

悠「っで、路上で100人に毒物といえば?と質問したら、90人以上が挙げるであろう毒物、それが青酸カリ。」

ミハイル「この超メジャー毒物から話をはじめていくぞ。異論はあとで論文形式で書いて持ってこい読まずに破り捨てるから」

優希「意味無いな」

悠「ちなみに青酸カリは科学的には「シアン化カリウムKCN」というのが正式名称だ。」

ミハイル「わりと凡用的な試薬だが、一般人が入手するのはかなり難しい」

優希「ほいほい手に入ったらシャレになりませんよ」

紅菜「けど、なんで手に入りにくいんでしょうね。」

優希「法律で定められてるからだろ」

紅菜「無いわよ。そんな法律」

優希「そうなのか?」

悠「うむ。法律では定められてない。「悪用防止化学物質」には指定されてる。これは薬品メーカーによる自主規制で、過去に悪用された特定の毒物に対して用いられてる。購入者に対する安全対策の確認や書面の提出を求めるよう薬剤師や販売所に通達として出されてて、購入者のリストは警察が要請すればすぐに提出されるシステムだ。」

ミハイル「もし購入できたとしても、悪用するいなや出所はあっというまに突き止められ御用になるな。」

悠「つまり、そこいらの主婦なんかがどうやっ厳しい審査をくぐり抜け匿名で青酸カリを手に入れられるかはファンタジーの領域だな。本格志向のミステリーで用いるにはもはや時代遅れの毒物になり下がっちゃってるだわさ」

優希「なるほど」

ミハイル「それに入手性の問題だけでなく、シアン化物全体にいえる性質によって、青酸カリは毒物に極めて不向きだといえる。」

優希「猛毒なんですよね?」

ミハイル「毒は毒でも、とても不安定なんだ。簡単に無毒化してしまうぞ。それになにより、確実に人を殺せる致死量はスプーン大盛りレベル。その場合、混入された食品の味は変わり果てて、物凄い味になるぞ。」

優希「へぇ…」


ミハイル「焼き肉のタレに試してみたが気づかれたしな」

優希「気づかなかったら……チコさん死んでるよな」

稲葉「それじゃあ今日の放送はここまでよ。メインパーソナリティは古川稲葉と」

禅「烏哭…禅で…お送り…しました。」
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