ー放送ー⚡電脳ラジオ(仮)⚡6

ー稲葉の部屋(隣)(6/28/夕)ー

稲葉「毎度お馴染み。笑いと癒しを提供する古川稲葉と…」

禅「烏哭禅…と…」

優希「千歳優希&…」

紅菜「紅菜の…」

稲葉「電!」
優希&紅菜「「脳!」」
禅「ラジオ…!」

稲葉「はい、電脳ラジオの時間よ。今日のゲストは崇さんと悠よ」

崇「……」

悠「前から思ってたが崇はラジオ向きな人材じゃないと思うおれだ。」

優希「けど、崇さんのひとことは身が引き締まりますよね」

悠「常にアイスクールトーンだからな。夏でもまったく溶けないし」

崇「お前は年中鬱陶しい髪だがな。」

悠「今は、髪の話はしてません!」

崇「……」

優希「ま、まぁまぁ…」

紅菜「聞いていいですか?」

崇「なんだ?」

紅菜「多分色んなひとが気になってると思うんですけど、虎狗琥さんと悠さんはどっちが強いんです?」

悠「崇」

優希「即答!?」

悠「宇陀(うだ)の高城(たかき)に鴫(しぎ)わな張る。我が待つや鴫は障(さや)らず鯨障(くぢらさや)る」

優希「?」

紅菜「?」

崇「久米歌か…」

悠「古事記の一節だ。日本最古の戦歌っていわれてる」

優希「…どういう意味なんです?」

悠「「鴫を獲るつもりが鯨が獲れた」このあと数句「古い主を捨てて私についてくればたくさんわけてやろう」ってつづくんだが、昔は鯨を取るのは戦以上に命がけだった。だから冒頭にこの句がきてる。」

優希「えと、つまり?」


悠「崇に挑むのはな人間が素手で鯨に立ち向かうようなもんだってこと。」

崇「その鯨も銛を撃ち込まれて死ぬがな。お前が俺の銛になるか?」

悠「お断りします」

崇「まぁ、こんな腑抜けじゃ喰う気にもなれないしな」

紅菜「じゃあ、悠さんがやる気ならどうなります?」

崇「さあ、どうかな。」

悠「だから、おれは平和主義なの。こんな規格外なお方には手も足もでやしませんて」

崇「安心しろ。お前は人を苛立たせるって才なら規格外だ。」

悠「なんでやねん」

崇「だがな…特別な強さなんていらないんだ。人は弱い、強さを追えば追うほど自分の弱さに気づいてしまう。それでも、誰かの強さをどこかに見つけて追いかけて人は前に進む勇気を手に入れる。……そういう意味で、強さをはかるなら俺よりこいつだ。」

悠「あー?」

崇「卑屈屋で嘘つきで意地汚く卑劣…」

悠「喧嘩売ってるだろ…」

崇「それでも誰よりも歪に真っ直ぐで他人の中にズカズカと上がり込む。コイツが一歩入り込んできたから、ただその一歩前に進む気持ちが有るから、他人の運命が変わる。コイツが誰かの運命を変えるように、変えられた奴も次の一歩で誰かの運命を変えるだろう。……喋りすぎたな」

優希「いや、流石です」

稲葉「それじゃあ今日の放送はここまでよ。メインパーソナリティは古川稲葉と」

禅「烏哭…禅で…お送り…しました。」
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