ー放送ー⚡電脳ラジオ(仮)⚡

ー稲葉の部屋(仮)ー

稲葉「毎回お馴染み。古川稲葉と…」

禅「烏哭禅の…」

稲葉・禅「「電脳ラジオ!」」

稲葉「今日はゲストは小鳥遊家の最強姉弟、梔お姐様と悪魔の柏さんです」

梔「よろしゅうに」

柏「なんだろうな…若干ムカつくな。まぁいい。数年前同僚から聞いた話だ…」

その日会社に残っていたのはソイツ一人だった。

電気は省エネのため、けっこう広い部屋なのですが付いているのはソイツのまわりだけ。

パソコンを打っていると、ドアが開き用務員風の男が入ってた。

確かに自分で最後だと言われたのに変だなと思った。

また用務員さんの顔は全員知ってる、新顔でも挨拶をしないのはおかしい、これはもしかしたら泥棒かもしれないと思い様子をうかがっていた。

顔は暗いためよく分からないが、眼帯をしているのがみえた。

すると男はでていかずに壁にそって歩きはじめた。
角にくるとまがってまた、同じようにまた曲がりる。

そうして一周してまた同じところに戻ってくると、その男は何かごもごも言いながら眼帯を押さえている。

何だか苦しむような素振りをしているのがみえたので、ソイツは『大丈夫ですか?』といい席を立って男の方に行った。

すると男は『お…が…こ…か?』何か聞いているのはわかった。

『救急車をよびますか?』というと、突然『これをやったのはおまえか!』と眼帯をとり首をしめてきた。

目からは血が出ていて、陥没したような感じになっていた。

『違います違います違います』と声にならない声で必死に言いった。

気付くと朝で上司に起こされていた。
昨夜起こったことを話すと、昔用務員が泥棒に、片目をナイフで刺されて殺されたそうだ。

柏「…ちなみに犯人は未だ捕まってない。」

梔「ほな…うちが続きますえ…親戚の話しやえ。」

深夜、3歳になったばかりの娘がうなされている声で目がさめました。

『うぅ~ん…いやだぁ~!……うぅん…』
首をイヤイヤするように左右に振り、苦しそうに顔をゆがませています。

ここ最近でも寝苦しい夜も続き、暑がりな娘は薄いタオルケットすらも剥いで寝ていることも多いので、またいつもの事かとも思いましたが、それにしても今夜はやけに苦しそうです。

妻も気づいたらしく目を覚ましました。

「なんか悪い夢でも見てるんじゃないの?」

「ああ、そうかもな。どれ起こすか…起きなさい。」

しばらくゆすっていると、娘がパチッと目をあけました。

そして、見る見る目から涙を溢れさせ『うわぁ~ん!』と泣き出しました。

抱き上げ、背中をさすりながら『どしたの?怖い夢でも見たか?』と聞きますが、なかなか泣き止みません。

焦りながら『大丈夫。大丈夫。』ととんとんと背中を叩きながら数分、ようやく落ち着いてきた娘が少し話し始めました。

『あのね。なんか白いお姉ちゃんがいたの。』

『何処にいたの?』

『うーんとね。ベランダ。』

『それで?』

『しんじちゃんの前がって言ってた。』

『しんじちゃん前がなんだって?』

『しんじちゃんの前って言ってたの!すごい怖かったの!』

しんじちゃんとは誰かの名前…?

家はマンションの3階に住んでいるのでもちろんベランダもある。
…にしても、このぐらいの年の子の言葉は理解が難しい。

多少寝ぼけているとはいえその後、いろいろ聞いてみたが要領は得ませんでした。

要約すると『家のベランダから白い格好をした女の人が、娘に向かって「しんじちゃんの前が…」と言っていた。それがとても怖い声だった。』

と言うことらしい…

そんな人はベランダに居ないし夢を見たんだろうから安心してお休み、と娘を寝かしつけました。

次の日の晩。
やはり同じでした。
うなされ泣き喚く娘。
起こすと同じ話の繰り返し。

「しんじちゃんの前。しんじちゃんの前なんだよう!」と言う娘。

今日は部屋の中、娘の枕もとでその白い女性が話し掛けていたようです。

その後何とか娘を落ち着かせ寝かしつけ……

梔「それで…その親戚はそっから引っ越したそうどす。」

禅「あれ…終わり…ですか?」

梔「…気がつきまへんでした?」

稲葉・禅「「?」」

柏「ちょっと待て、しんじちゃんのまえ…しんじのまえ…し ん じ ま え……」
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