ー放送ー⚡電脳ラジオ(仮)⚡
ー稲葉の部屋(仮)ー
稲葉「毎回お馴染み。古川稲葉と…」
禅「烏哭禅の…」
稲葉・禅「「電脳ラジオ!」」
稲葉「今日はゲストは氷室さんと星凪ちゃんよ」
氷室「どうも、どうも。しかし、この組み合わせの意味は?」
稲葉「完全なランダムよ」
氷室「そうですか、では星凪さんよろしくお願いしますね。」
星凪「は、はい、こちらこそ。」
氷室「では、友人から前に聞いた夏の話です。」
友人の部屋で大学の講義をさぼり、何するでもなくダラダラしていた。
他愛も無い馬鹿話、その中で友人がふとこんな事を口にした。
「なあ、もしこの世に読心術できる奴がいたらさ、そいつは俺が今、読心術の出来る奴っているのかなあって考えてる事も読んでるって考えてるのも読んでるのかなあ?」
…人間、暇になると何て非生産的な事を考えるんだとその場は苦笑していたのだが、翌日からそいつと連絡がとれなくなった。
落とせないゼミにも顔を出さず、一緒だったバイトも無断欠勤した。
携帯も通じない。
そんな事が三日ばかり続き、さすがに何かあったかと部屋を訪ねて行った。
部屋の前まで来ると、中から妙な音が聞こえる。
人の歌のような、機械音のような音。
思いきって開けたドアの向こうに彼はいた。
カーテンを締め切った真夏の部屋。
その真中で彼は歌っていた。
直立で、一点を見たまま声を枯らして。
放心している彼を何やかやとなだめすかし、事の次第を聞いた。
私と馬鹿話をした日の夜だったという。
寝いりばなに電話が来たのだという。
「あの…」
聞いたことの無い、掠れた女の声だったという。
声が小さくてよく聞こえない。
「…ない…よ」
はぁ?
「きょう…だれ…」
どなた?
「…おも…じゃな…」
同じような言葉をニ三度繰り返した後、沈黙が流れた。
気持ち悪くなった彼が受話器をおこうとした時、はっきりとした声で女が言った。
「あなたが今日思った事、誰にも言うんじゃないよ」
「…それから三日、何も頭に浮かべないように、歌い続けていたのだというのです。」
星凪「じ、じゃ、じゃあ…わ、わたしがは、話します!と、友達がお姉さんに聞いた話しらしいです…」
ある日、女子高生のお姉さんが、学校帰りに駅で列車を待っていると、反対側のホームに同じ学校の制服を着た子がいるのに気づいた。
顔を見ると、同じクラスのBさんだと分かった。
しかし、その日Bさんは体調が悪いとかで学校を休んでいたはずだった。
よく見ると、うつろな表情でぼんやりとしており、こちらに気づいた様子も無い。
お姉さんは、さほどBさんと親しいわけでは無かったが、学校を休んだ子が制服を着てぼんやりと立っているのはさすがに気になり、声をかけてみようと思ったが、Bさんのいるホームにはすでに列車が入ってきていた。
Bさんはその列車に乗ってしまうのだろうから、もう間に合わないとお姉さんさんが思ったその瞬間……
うつろな表情のBさんは、ホームに入ってきた列車に飛び込もうとした。
「あっ!」とお姉さんが思った時には、すでにBさんの足はホームから離れていた。
もう助けられるわけもないが、お姉さんは思わず身を乗り出した。
・・・と、その時、お姉さんはドン!と何か凄い力によって突き飛ばされた。
ただでさえホームの端で態勢を崩していたお姉さんは線路に向かって飛んでいった。
目に飛び込んできたのは、猛スピードで向かってくる列車と、引きつった表情で急ブレーキをかけようとする運転手の姿だった・・・。
問題となるのはここからで……
線路に飛びこんだお姉さんだったが、凄い力で飛ばされた為、列車の入ってきた線路を飛び越えて、線路の向こう側に落ちた為、列車にはぶつからなかった。
その為、肉体的な怪我は骨折だけで済み、命に別状は無かった。
駅員や警察の調べでも、「普通の女子高生が助走もつけずにこんなに飛べるわけが無い」との事で、誰かが彼女を押したに違いないと言っているが、調べた限りではそんな人物は見当たらない。
そして、お姉さんが見たという投身自殺。
これはそもそも、その時間、反対側のホームに入ってきた列車自体が存在しなかったという。
仮にそんな列車が入ってきていたのなら、反対側の線路に落ちたお姉さんは、間違い無くその列車にぶつかっていたはずである。
それだけなら、お姉さんはありもしない同級生の自殺を見たという事になるが、
実は、お姉さんが線路に落ちたまったく同じ時刻に8つ離れた駅でBさんは自殺を図り、助からなかった…という事が、その後まもなく分かった。
つまりお姉さんは、遠く離れた駅で起きた同級生の自殺を目の前で見て、さらに自分も列車に飛び込む羽目になったという事である。
星凪「そ、その、その後もその路線の駅では人身事故が相次いでいるらしいです…その大半が自殺として片付けられているらしいです…」
稲葉「毎回お馴染み。古川稲葉と…」
禅「烏哭禅の…」
稲葉・禅「「電脳ラジオ!」」
稲葉「今日はゲストは氷室さんと星凪ちゃんよ」
氷室「どうも、どうも。しかし、この組み合わせの意味は?」
稲葉「完全なランダムよ」
氷室「そうですか、では星凪さんよろしくお願いしますね。」
星凪「は、はい、こちらこそ。」
氷室「では、友人から前に聞いた夏の話です。」
友人の部屋で大学の講義をさぼり、何するでもなくダラダラしていた。
他愛も無い馬鹿話、その中で友人がふとこんな事を口にした。
「なあ、もしこの世に読心術できる奴がいたらさ、そいつは俺が今、読心術の出来る奴っているのかなあって考えてる事も読んでるって考えてるのも読んでるのかなあ?」
…人間、暇になると何て非生産的な事を考えるんだとその場は苦笑していたのだが、翌日からそいつと連絡がとれなくなった。
落とせないゼミにも顔を出さず、一緒だったバイトも無断欠勤した。
携帯も通じない。
そんな事が三日ばかり続き、さすがに何かあったかと部屋を訪ねて行った。
部屋の前まで来ると、中から妙な音が聞こえる。
人の歌のような、機械音のような音。
思いきって開けたドアの向こうに彼はいた。
カーテンを締め切った真夏の部屋。
その真中で彼は歌っていた。
直立で、一点を見たまま声を枯らして。
放心している彼を何やかやとなだめすかし、事の次第を聞いた。
私と馬鹿話をした日の夜だったという。
寝いりばなに電話が来たのだという。
「あの…」
聞いたことの無い、掠れた女の声だったという。
声が小さくてよく聞こえない。
「…ない…よ」
はぁ?
「きょう…だれ…」
どなた?
「…おも…じゃな…」
同じような言葉をニ三度繰り返した後、沈黙が流れた。
気持ち悪くなった彼が受話器をおこうとした時、はっきりとした声で女が言った。
「あなたが今日思った事、誰にも言うんじゃないよ」
「…それから三日、何も頭に浮かべないように、歌い続けていたのだというのです。」
星凪「じ、じゃ、じゃあ…わ、わたしがは、話します!と、友達がお姉さんに聞いた話しらしいです…」
ある日、女子高生のお姉さんが、学校帰りに駅で列車を待っていると、反対側のホームに同じ学校の制服を着た子がいるのに気づいた。
顔を見ると、同じクラスのBさんだと分かった。
しかし、その日Bさんは体調が悪いとかで学校を休んでいたはずだった。
よく見ると、うつろな表情でぼんやりとしており、こちらに気づいた様子も無い。
お姉さんは、さほどBさんと親しいわけでは無かったが、学校を休んだ子が制服を着てぼんやりと立っているのはさすがに気になり、声をかけてみようと思ったが、Bさんのいるホームにはすでに列車が入ってきていた。
Bさんはその列車に乗ってしまうのだろうから、もう間に合わないとお姉さんさんが思ったその瞬間……
うつろな表情のBさんは、ホームに入ってきた列車に飛び込もうとした。
「あっ!」とお姉さんが思った時には、すでにBさんの足はホームから離れていた。
もう助けられるわけもないが、お姉さんは思わず身を乗り出した。
・・・と、その時、お姉さんはドン!と何か凄い力によって突き飛ばされた。
ただでさえホームの端で態勢を崩していたお姉さんは線路に向かって飛んでいった。
目に飛び込んできたのは、猛スピードで向かってくる列車と、引きつった表情で急ブレーキをかけようとする運転手の姿だった・・・。
問題となるのはここからで……
線路に飛びこんだお姉さんだったが、凄い力で飛ばされた為、列車の入ってきた線路を飛び越えて、線路の向こう側に落ちた為、列車にはぶつからなかった。
その為、肉体的な怪我は骨折だけで済み、命に別状は無かった。
駅員や警察の調べでも、「普通の女子高生が助走もつけずにこんなに飛べるわけが無い」との事で、誰かが彼女を押したに違いないと言っているが、調べた限りではそんな人物は見当たらない。
そして、お姉さんが見たという投身自殺。
これはそもそも、その時間、反対側のホームに入ってきた列車自体が存在しなかったという。
仮にそんな列車が入ってきていたのなら、反対側の線路に落ちたお姉さんは、間違い無くその列車にぶつかっていたはずである。
それだけなら、お姉さんはありもしない同級生の自殺を見たという事になるが、
実は、お姉さんが線路に落ちたまったく同じ時刻に8つ離れた駅でBさんは自殺を図り、助からなかった…という事が、その後まもなく分かった。
つまりお姉さんは、遠く離れた駅で起きた同級生の自殺を目の前で見て、さらに自分も列車に飛び込む羽目になったという事である。
星凪「そ、その、その後もその路線の駅では人身事故が相次いでいるらしいです…その大半が自殺として片付けられているらしいです…」