ー放送ー⚡電脳ラジオ(仮)⚡

ー稲葉の部屋(仮)ー

稲葉「毎回お馴染み。古川稲葉と…」

禅「烏哭禅の…」

稲葉・禅「「電脳ラジオ!」」

稲葉「今日のゲストは柏さんと悠……あら、居ないわね。」

柏「っか、なんだこりゃ。なんで、呼び出されたんだ。」

禅「ラジオ…放送の…ゲストに…お呼び立て…しました。」

柏「ラジオだぁ?……まぁ、あの、クソガキと面を会わさずに済むならもう少し居てやる。」

禅「あり…がとう…ございます。」

稲葉「じゃあ、早速だけど、悠の代わりに百物語をお願いしますわ。」

柏「百物語ぃ?ようはどうゆう事だ。」

禅「はい…ゲストの…方に…怪談や…不思議体験を…話して…頂く…企画中…なの…です。」

柏「怪談何ぞは知らねぇが……俺がガキの頃の話だ…冬だったな…」


ある日、夜遅く帰ると「あれ 今帰ってたんえ?」と、母が言った。

俺はそうだと答えると「ふうん。」と、首をひねってから背を向けた。

何か合点がいかないようだったが…俺は親とくっちゃべる事はねぇから。

多少気になったものの飯を食い終わる頃には、そんな事忘れた。

それから何日か後…

夜遅く帰ると「あれ 今帰ってきたんえ?」と、母が言った。

そうだと答えると「ふうん。」と、首をひねってから俺に背を向けた。

何か合点がいかないようだった。

そしてある秋。
夜、居間でくつろいでいた俺は、頭上から聞こえる微かな音に気付き天井に目を向けた。

台所に居た母が炊事の手を止めた。

「音と気配」が二階の部屋を ややゆっくりと歩き回っていた。

きちんと人間の体重が乗った音。

「……これか?」
と、俺は尋ね

「…そう これどす。」
と、母は答えた。

柏「……結局あれは何だったか今でもわかんねぇなぁ…」

稲葉「アンチファンタジーの柏さんにしては珍しい発言ね。」

柏「ふん。俺だってわからん事だってある。それにアンチファンタジーな訳じゃねぇ。ただ、見えないもんを信じねぇだけだ。」

禅「例…えば…?」

柏「神とかは信じねぇな。何しろ会ったことがねぇ。あぁ…けど、疫病神は会ったことあるな悠って名前の。」

稲葉「ふふ。じゃあ、本当に神様が目の前に現れたら信じるの?」

柏「…俺は神は信じない。目に映ろうが映るまいが…。どんなに祈っても救いの手が差しのべられる事はねぇんだよ。」

禅「…同感…です」

稲葉「あらあら、意外な共通点があったものね。」

禅「はは…ですが…俺には…崇拝する…人が居ますから」

柏「ふん。世迷い言だな。」
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