ー放送ー⚡電脳ラジオ(仮)⚡3

ー稲葉の部屋(談話室)ー

優希「こんちわです」

紅菜「稲葉さん、これよかったら食べてください。」

稲葉「あら、美味しそうな栗ね。」

紅菜「はい、頂き物のお裾分けです。」

稲葉「ありがとう。じゃあ、これは悠を唆(そそのか)してモンブランにして貰おうかしら。渋皮煮も悪くないわね。」

優希「唆してって所がパネェっすね」

稲葉「ほら、悠は料理好きだから。」

紅菜「甘い系にするなら久瀬先輩でもいいのでは?」

稲葉「それもありだけど、小雪だと素直に了承してくれるじゃない。私的には何だかんだ文句をいいながら切磋琢磨に働く悠の姿が見たいのよね。」

優希「わあぉ…」

稲葉「クスクス。」

紅菜「怒りません?」

稲葉「悠は報われない仕事が大好きだから平気よ。それに栗なんて食材を渡したら料理したくてウズウズするわよ。天の邪鬼だから」

優希「稲葉さんは悠の取り扱い説明書でも保有してるんですか?」

稲葉「それだったらいいんだけどね。悠は人の予想を斜め横に突破してくれるから扱いきれないのよ。まぁ、とりあえず立ち話はアレだし、中にはいりましょう。」

ガチャ…

禅「z…zz…z…zz」

稲葉「あら…」

優希「珍しい。禅くんがうたた寝してるなんて」

紅菜「そう言われてみたら烏哭さんっていつ寝てるんですか?」

稲葉「普段疲れたときはいつものファミレスかアナグラで寝てるらしいわね。」

優希「アナグラ?」

稲葉「禅くんのアジトって処かしら詳しい場所なんかは一切知らないけど。」

紅菜「自宅では無いんですか?」

稲葉「もう何年も帰ってないそうよ。」

優希「えぇ!?ど、どうして?」

稲葉「出てこれなくなりそうで怖いんですって」

紅菜「なにがですか?」

稲葉「私が話して良いことかわからないけど、禅くんは元々引きこもりだったらしいのよ。どういった経緯で今に到るかは知らないけどね。それで、もう一度家に帰ったら、二度と外に戻れなくなるかも知れないって気持ちがあるらしいわ。」

優希「……知らなかった。」

稲葉「昔話をしない人が多いからね。けど、禅君は聞いたらなんでも話してくれる人よ。そういう自分も居たって割り切れる人だし。」

禅「z…zz…んっ……おや…皆…さん…お揃…いで…待た…せて…しまい…ましたか?」

稲葉「大丈夫よ。それより、禅君。お疲れかしら?」

禅「はは…この…ところ…あまり…寝て…ません…から…」

優希「なにかあったんですか?」

禅「大した…こと…では…ない…ですよ…時期的に…チーム…同士の…小競り合い…が…多くな…るので…その…事務処理…や…伝達が…増えて…いる…だけ…です」

稲葉「いつから寝てないの?」

禅「…………三日…四日…だった…です…ね?」

優希「死にますよ!?」

禅「多分…平気…です」

稲葉「けど、倒れられたら困るから今日と明日のラジオは休んでいいわよ。

禅「そう…ですか……………………なら…そう…させて…もらいます」

優希「間長っ…」
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