ｰ三日月(1/13/深夜)ｰ

凛「ふぅ…片付けも終わったわね」

ｺﾝｺﾝ…

悠「すいません」

凛「ごめんなさい。今日はもう閉店……あら、悠くんじゃない！」

悠「夜分にすいません。もう店じまい中でしたか」

凛「ちょっと待って、暖簾だけ下ろしちゃうから」

悠「あ、いや、また出直しますから」

凛「そういわず。尋ねてきたってことはなにか用事でしょ？」

悠「用事かなぁ…」

凛「あ、なにか食べる？」

悠「いやいや、大丈夫っすよ腹減って…」

ズギューン！

凛「……お腹減ってるの…よね？」

悠「すませんペコペコです」

凛「お腹の音すごいわね」

悠「よく言われます」

凛「今日の残り物しかないけど…おにぎりと豚汁と菜の花のごま和えでいい？」

悠「十二分におっけーねです！」

凛「ふふ、お酒は？」

悠「飲みたいですけど、手持ちがあんまりないので…」

凛「お姉さんのおごり。」

悠「やべぇ、惚れてまうわぁ。」

凛「そ、そう？じゃあ…付き合っちゃう？」

悠「いやぁ、キリンさんに手を出したら常連さんにつるし上げられちゃいますよ」

凛「もぅ、冗談ばっかり…(うーん…私ってやっぱり押しが弱いのかな…今のもかなり勇気だしたのに)」

悠「美味っ。この菜の花のごま和えほろりと苦味があって美味いっすよ」

凛「良かったわ。あ、そういえば最近なにかあったの？しばらくお店にこなかったし」

悠「あー、今ちょっと色々やってましてね。カエルのやつは元気ですか？」

凛「元気よ。悠くんの顔見たがってたわよ。携帯に出てくれないともいってたし」

悠「あー、おれ携帯不携帯ですからね」

凛「携帯不携帯…」

悠「まぁ、そんなことよりキリンさん、ちょっと質問いいですか」

凛「なにかしら？」

悠「もしですよ。俺が店を開くっていったら笑いますか？」

凛「笑わないわよ。けど、なんのお店？」

悠「将来的には深夜専門の食堂的な店を…。」

凛「夜専門の？」

悠「はい。メニューも無しで…って、この話じゃなくて俺が茶店とか開くと変ですか？」

凛「悠くんはお茶をいれれるのよね？ぴったりじゃないかしら」

悠「いや、客商売となると俺の腕なんて」

凛「私は大丈夫だと思うわ。」

悠「はは、照れますね。ちなみに、キリンさん的に客商売はなにが大事ですか？」

凛「そうね…いろいろ有るけど、お店を休まないことかしら。継続は力なりってね」

悠「なるほど……ありがとうございました」

凛「なにかの役に立ったかしら？」

悠「十分たちましたよ。お腹もふくれましたし。じゃ、ごちそうさまでした。」

凛「はい、お粗末様です」