ー談話ーラスタ・ラブへようこそ~【Ⅰ】10

ー小鳥遊家:前(12/25/昼)ー

兜馬「だから……っ、切られてしまった」

近藤「社長、もう素直に顔を見てきたらいかがですか?せっかく日本に帰ってきているのに…」

兜馬「……電話でもこの調子だ。顔を会わせたら本当に喧嘩なるだろう」

近藤「社長、いや、兜馬。友人としていうが……父親と息子が対立するのは仕方がないことだとおもうぞ。特にお前と坊っちゃんなら尚更だ。だが、争うばかりが親子じゃあるまい。兜馬も坊っちゃんを少しはわかってあげるべきじゃないか?」

兜馬「……ふぅ、わかっている。わかってはいるが……な。」

近藤「やれやれ…紅葉殿がいたらもう少しはマシだったものの」

兜馬「耳がいたいな。私は結局子供の教育には失敗したんだから」

近藤「失敗はあり得ませんよ。子供は親の知らないうちに成長していくものです。」

兜馬「そう…か」

柳「ほっほほ、それでいつまでここでこうしているんじゃ?」

兜馬「……何処かで飲みましょうか」

柳「ホンの数メートル先にいい酒も料理もでる場所があるようじゃが」

兜馬「…………すいません。やはり、顔を会わすのは無理だ」

柳「やれやれ…」

近藤「社長…」

ともき「あれ…もしかして…」

兜馬「ん?」

近藤「おや、こんにちは。」

ともき「どうもです。」

兜馬「君はたしか…」

ともき「中山ともきです。悠と同じクラスの」

兜馬「ああ、君が中山くんか、話しはよく聞かせて貰っている」

ともき「き、恐縮です。ところでこんなところで何を?」

柳「なぁに、ちょっと坊主が息子に顔を会わせれなくてヘタレてるだけじゃよ」

兜馬「先生…」

柳「ほっほほ。坊主もジュニアももう少し素直ならよかったんじゃがのぉ」

近藤「まったくですね」

兜馬「くっ……」

ともき「よくわかりませんが…アレだったら悠を呼んで来ましょうか?」

兜馬「いや、結構だ。」

近藤「格好つけている場合ですか?」

兜馬「そういう訳ではない。ただ、やはり今会ったところで喧嘩になってしまうだろう。中山くん、今日の事は忘れてもらえないか。」

ともき「は、はぁ…けど、本当にいいんですか?」

兜馬「私も男だ。男であり悠の父親だ。いずれちゃんと決着はつける。」

柳「その日が来ればいいのですがのぉ。」

近藤「はぁ…車を回してきます」

ともき「それじゃあ…おれも失礼しますね。」

兜馬「……中山くん。」

ともき「はい?」

兜馬「悠は…その元気か?」

ともき「元気ですよ。いつも、バカみたいに」

兜馬「そうか…ありがとう。」
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