ー談話ーラスタ・ラブへようこそ~【Ⅰ】10

ー小鳥遊邸(道場)(12/21/昼)ー

悠「なぁ、おっさん」

パチ

雲水「なんだ。」

パチ

悠「わざわざ、朝からガッコサボたのに鍛練せずに将棋三昧ってどうなんだ?」

パチ

雲水「これも修行だ」

パチ

悠「修行なぁ…っか、王手。」

パチ

雲水「むっ…」

悠「今のところ八戦八勝。俺の全勝ちだぞ」

雲水「むむむ…」

悠「悪いけど、この手のゲームで負ける気はないぜ。」

雲水「ほぅ、ずいぶんと強気な発言だな。」

悠「将棋なら真桜とも五分はれるからな。」

雲水「なら……」

スッ…パチ

悠「むっ…」

雲水「盛者必衰。どうだ、読み抜きだろ。」

悠「……………………………………無い。投了する。アンタの勝ちだ。」

雲水「ふぅー……やっと勝てた…っぜ。」

悠「なんだ、やたら疲れてるな」

雲水「これが読みの鬼状態(オニモード)だ」

悠「なに?」

雲水「鬼門は頭から入る。鬼の力を使いたいならまずは頭をクリアーにするのが始まりだ。」

悠「……」

雲水「まぁ、お前は九頭竜の龍剄と相性がいいから無理に鬼門とは…」

悠「下手だな。」

雲水「なに?」

悠「嘘が下手だな…。雲水さん」

雲水「嘘だと?」

悠「今さっきいった頭をクリアーにする。あれ嘘だろ。さっきの最後の一戦もっと別なもんを感じた。おれはな自分がおお嘘つきだから他人の嘘には敏感なんだ。」

雲水「ひねくれてるな。」

悠「よく言われるよ。」

雲水「ふん…なら教えてやる。鬼出ル門、鬼門。もちろん、名前なんかはなんでもいい。俺は普段「鬼状態」と呼んでるがな。」

悠「オニモード……洒落や冗談の類いじゃ無いんだよな。」

雲水「ちがう。鬼状態を使うのは簡単だ。まず、命を操り方を指南するぞ。」

悠「なに?」

雲水「文字通り心臓の鼓動をコントロールする。発動の念持(キーワード)は「命を捨てる」。」

悠「……」

雲水「そして、体を動かさずに運動せず止まったまま鼓動を一気に極限まで高める。内に内に自分自身を内側に圧縮する。鼓動の回数が全力疾走を遥かに越えたとき……ある領域(ゾーン)に入る。」

悠「その領域って…」

雲水「死んだ友人に会えるかもしれない場所だ。事故の瞬間や死ぬ間際の走馬灯のような状態を自らつくりだす。人から変化だ。この時「何か」を入れる。こるが鬼状態だ」

悠「何か?」

雲水「さっき加えたのは「読み」。あの一瞬俺は約千手先まで読んだ。千里眼とでも言うべき読みが炸裂したわけだ。」

悠「鬼状態か…なるほど」

雲水「ただし、鬼状態を会得できたとして…例えば…小動物は人間の数倍の速さで鼓動を打つ。だから寿命が短い。」

悠「……」

雲水「お前ならもう察しはついただろ。鬼状態は連投すると……早死にする」

悠「……」

雲水「命を賭けるのが嫌いなお前には相性は悪いと思うけどな。」

悠「いや、多分…相性いいはずだ」

雲水「なに?」


悠「俺は天の邪鬼だからな…自分と反対なほど相性が良くなる。だから龍剄気孔は相性が悪い…。まぁ、鬼状態、覚えてみようかな。。」
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